第5話 数の試練の結末

ある球の表面積は100πです。この球の半径を求めなさいと書いてあった。

「球の表面積を求める問題はやったことあるけど、球の半径を求める問題は、やったことがない。どうやって解くんだろう。」

「ギギギ・・・」

不意に何かが引きずられる音がした。周囲の壁が内側に向かって動いていた。

「やばい!でも落ち着け。集中しないと、解けない。まず、球の表面積の公式は、4πr²だ。」

音を立てながらまた壁が10cmほど近付いてきた。手を伸ばせば届きそうだ。

「この式で方程式を作ると『100π=4πr²』πを消して、『100=4r²』両辺を4で割って『25=r²』で、『r = 5』だ」声が壁に反響した。次の瞬間、辺りが静寂に包まれた。それと同時に周囲を囲っていた壁が金色に輝き、光の粒子となって空を舞い始めた。全ての粒子がなくなった後には、深緑に輝いている木々が周囲に立っていた。しかし正面だけ、ここを通ってくださいというように綺麗に木が生えていなかった。進むべきなのか迷っていると、

「数の試練はクリアできたようじゃな」

と聞き覚えのある声がした。オルフだ。

「うん。なんとかクリアすることができたよ。でも今みたいな試練がこれからいくつもあると思うとすごく不安なんだよね。」

試練をクリアした後の正直な気持ちを打ち明けた。

「わしは信じておるぞ、お主の力をな。きっと、この先の試練も笑って乗り越えられるはずじゃ。」

オルフが慰めてくれて自信が出た。

「本を読むのが好きだから次は、国語の試練がいい。」

オルフのおかげで、試練に向き合う勇気が湧いてきた

「了解じゃ。ついてくるのじゃ。」

僕は、オルフに置いていかれないようについて行った。

背後では、木々が再び黄金に染まり、静かに物語の次の扉を開こうとしていた。

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