第4話 数の試練
浮かび上がってきた数式をよくみてみるとそれは一次方程式だった。5x+12=3x−4
「これはおぬしのレベルを測るための問題じゃ。自分の力で解いてみるのじゃ」
オルフがそう言って一歩距離を置いた。
「わかった。頑張る。まずは移項して・・・できた!x=−6だ」
こう答えた瞬間扉の式が強く光った。思わず目を閉じた。目に突き刺さるような光だった。光が収まり目を開けた時には、扉が開き建物の中からほのかな草の香りとひんやりとした風が流れてきた。この場所は、長い間開いていないようだった。
「最初の試練は難なく突破できたようじゃな。」
距離を取っていたオルフが戻ってきた。扉は開いたけれどこんな神聖そうな場所に、僕が入ってもいいのだろうか。悩んで足を止めていると──。
「扉が開いたのじゃおぬしなら入っても大丈夫じゃ。」
心が見透かされていたこのような声がかけられた。オルフの言葉に背中を押され一歩踏み出した。
「僕はやればできる。」
こう呟いて。
建物の中に入るとそこは外面と同様に青白く輝く石で囲まれていた。
「この部屋すごく綺麗だね。」
オルフに同意を求めるが返事がない。
「オルフ?」
呼びかけても反応がない。
そういえば問題を解く直前に「自分の力で」って言ってた。試練を一人で解けということだったのか。急に心細くなったけれど、覚悟は決まっていた。だから、前に進む。
一人になってしばらく進むと行き止まりになった。壁には半径4cmの球の表面積を求めよとかいてある。
「球の表面積は4π×半径の2条で求めることができるから4×π×4×4で64πだ。」
こう答えた瞬間前の扉が強く輝いて、光が弾け飛ぶと同時に、壁がまるで砂のように崩れ落ち、目の前に新たな道が姿を現した。
「そういえば最近点数をとるための勉強になっていて数学の楽しさを忘れてたな。やっぱり数学って楽しいな。」
こんな独り言を呟きながら歩いているとまた目の前にいく手を阻む壁が現れた。今度はどんな問題だろう。問題を解くことが、だんだん楽しくなってきて、胸がワクワクしてきた。壁の前まで行くと、そこには、今までとは一味違う問題が書いてあった。
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