第10話永遠の藍
僕の意識は、もう現実を映さない。
体も輪郭も、時間も、音も、すべては藍色の中に溶けた。触れる感覚も、風も、声も、すべては消え去った世界。
けれど、恐怖はない。寂しさもない。
僕は色になった——空の藍も、海の藍も、夜の静寂も、すべて僕の一部となったのだ。
描きたかった夜空も、星も、波も、僕の意志も、光の粒となって漂っている。
「これでいい」小さく呟いた意志は、藍色の深みに、静かに息づいている。
誰もいない世界で、僕は永遠に漂う。
消えたのではない。溶け込んだのだ。存在も記憶も、すべて色と一つになった。
絵の中の僕は、もう孤独ではない。色たちと共に、無限の藍の海を漂い続ける。
そして、どこかで誰かが見たとき、その色は微かに輝き、僕の存在を伝えるだろう。
僕は、永遠に生きている——藍色の世界で、絵の一部として。
藍に溶ける 青夏 水蓮 @Nziai
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