第14話 癒しのオイル

「シュンスケ、お風呂……一緒に入る?」




その一言に、心臓が跳ねた。


ソファで抱き合い、キスを交わし、頬を赤らめながら微笑むエミリーは、まるで小悪魔のようにいたずらっぽい笑顔を浮かべていた。




「え、まじで……?いや、でもお前、疲れてるだろ」


「シュンスケも、疲れてるよね?……だから、癒してあげる」




そう言うと彼女はスッと立ち上がり、裸足のままバスルームの方へ歩いていった。


柔らかな腰の動き、長い金髪が背中で揺れるその後ろ姿を見送るだけで、シュンスケの喉がカラカラになる。




(いや……これは理性が試されるぞ……)




バスルームの中から、しばらくして彼女の声が聞こえた。




「シュンスケ、早くおいで~」


「……くっ」




覚悟を決め、シャツを脱ぎ、ズボンを脱ぎ、彼女のいるバスルームへ向かう。




扉を開けると、そこは湯気に包まれた小さな楽園だった。


浴槽にはたっぷりとお湯が張られ、バスライトの柔らかな光が水面でゆらめいている。


そしてその中心に――白く透き通る肌を湯に沈めたエミリーが、少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑んでいた。




「シュンスケ、こっち来て」


「……お、おう」




足を踏み入れ、彼女の隣に腰を下ろすと、すぐに湯の温かさと彼女の肌のぬくもりが伝わってきた。




「気持ちいいね……」


「……ああ」




緊張で上手く言葉が出ない。


隣で笑う彼女が、そっと小さなボトルを取り出した。




「これ、マッサージオイル。温めると、いい匂いがするんだって」


「……え?お、おいおい……」


「シュンスケに、使ってあげる」




彼女は湯船から立ち上がり、滑らかな曲線を描く腰、太もも、胸元が視界に飛び込む。


タオルを軽く巻いた体からは、滴るような水滴が弾け落ち、胸の奥に火をつけた。




「シュンスケ、うつ伏せになって」


「……マジか」




戸惑いながらも、言われるままにうつ伏せになると、彼女がそっと腰に跨り、背中にオイルを垂らしてきた。


ぬるっとした感触、そしてすぐに彼女の柔らかい指先が背中を優しくなぞる。




「どう?気持ちいい?」


「……や、やばい……」




小さな手が肩を揉み、背中を撫で、腰の上を優しく滑るたび、湯の熱さとは別の熱が体の芯に広がっていく。




「シュンスケ、筋肉、かたいね……無理してるんだ」


「う……」


「いっぱい……癒してあげる」




腰に跨る彼女の体温が、次第に直接的に伝わってくる。


胸の柔らかさが背中に当たり、太ももが腰に優しく押し付けられ、呼吸が乱れていく。




「エミリー……もう、限界なんだが……」


「ふふ……じゃあ、次は……私の番、だよね?」




そう言って、彼女はそっと体を反転させ、仰向けになる。


滑るように胸元を覆うオイル、艶めく肌、ほんのり上気した頬――理性を試される、どころではなかった。




「シュンスケ……して……」


「……っ」




言葉を詰まらせながらも、彼はそっと彼女の頬に触れ、唇を落とした。


途端に彼女の両腕が首に絡み、深く、熱く、唇が重なる。


舌先が絡み合い、吐息が交じり、全身が痺れるような感覚に包まれていく。




湯気の中、静かに、けれど確かに始まる二人の夜。


お湯の音と、微かな水音、重なる吐息が、浴室の中に響き渡った――。




(続く)





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