第13話 ありがとうのキス
「ただいま……」
シュンスケがドアを開けると、エミリーはすっと彼の腕から離れ、ふわっと髪を整えた。
靴を脱ぐ手元は少しぎこちないが、嬉しそうな笑顔は隠せない。
「シュンスケ、今日……ほんとに、ありがとう」
「いや、こっちこそ。お前が楽しそうにしてくれて、俺まで嬉しかった」
彼がそう言うと、エミリーは一歩近づき、彼の胸元にそっと手を置いた。
「……ありがとうのキス、していい?」
「……えっ、い、いいけど……」
言い終わる前に、彼女は背伸びをし、柔らかい唇を彼の唇にそっと重ねた。
一瞬のキスかと思えば、彼女の腕が彼の首に絡み、自然と長く深いキスへと変わっていく。
「……ん、シュンスケ……」
「っ……エミリー……」
彼女の小さな舌がそっと唇を割って入り込む。
優しく、けれど甘く強引に、唇を吸い、舌を絡め、吐息が熱く混じり合った。
(あ、やばい……完全にスイッチ入っちまった……)
エミリーは彼の胸に体を預け、指先をそっと首筋になぞらせる。
一日中観光してきたはずなのに、彼女の体からはほんのり甘い香りが漂い、頭がクラクラしてくる。
「エミリー……一回、ソファに座ろう。足、疲れただろ」
「……うん。でも……」
彼女は小さく笑い、彼の耳元に口を寄せた。
「座っても……キス、やめないよ」
「……っ」
顔が真っ赤になる。
シュンスケはたまらず笑い、ソファに腰を落とすと、エミリーはそのまま膝の上に跨がってきた。
「……シュンスケ、いっぱい触っていいよ?」
「お前、今日は甘えモードすぎる……」
「だって……シュンスケが、かっこいいから」
彼女の指が彼の頬に触れ、そっと髪を撫でる。
優しいキスが額に、頬に、唇に降り注ぎ、胸の奥が熱を帯びていく。
「……俺の番だな」
「え?」
彼はそっと彼女の頬を包み込み、今度は自分から唇を重ねた。
彼女が小さく声を漏らし、腕が首に絡む。
舌先が触れ合い、角度を変えて深く吸い、息が詰まりそうになるほど熱が高まった。
「ん……っ、シュンスケ……待って、ちょっと、強引……」
「言い出したのはお前だろ……」
「ふふっ、そうだった……」
笑い合いながら、二人は再び唇を重ねる。
彼女の細い指が彼のシャツの裾に触れ、そっと中に滑り込む。
腹筋をなぞるような微かなタッチに、シュンスケは思わず体を震わせた。
「シュンスケ……だいすき」
「俺も……」
二人は額を寄せ、静かに見つめ合った。
長い睫毛、青い瞳、柔らかい微笑み――全てが、今この瞬間、彼だけのものだった。
「……ベッド、行こうか?」
「……まだ、ここでいい」
「え……?」
彼女はそっと体を寄せ、耳元で囁いた。
「もう少しだけ、ここで……甘えさせて」
シュンスケはそっと頷き、腕を広げた。
エミリーはその中にすっぽり収まり、胸に顔を埋める。
「シュンスケの匂い、すき……」
「……俺も、お前の全部が好きだ」
静かな部屋に、二人の吐息が重なり、深い夜の始まりを予感させた――。
(続く)
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