第15話 すき、だいすき

ベッドルームに足を踏み入れると、エミリーはくすりと笑い、シュンスケの手を引いた。




「ねぇ、シュンスケ……こっちに来て」




その言葉だけで、胸の奥がじんと熱を帯びる。


浴室でのやり取りだけでも心臓は高鳴りっぱなしだったのに、今彼女は完全に火をつけた目で、彼を誘っている。




ベッドのシーツは綺麗に整っていたはずなのに、エミリーはそこに躊躇なく腰を下ろし、上目遣いでシュンスケを見つめてきた。




「私から……いい?」


「……ああ」




言い終わらないうちに、彼女はそっと唇を重ね、手のひらを彼の胸に這わせた。


小さな手が緊張した筋肉をなぞり、触れられるたび、皮膚の奥がじわじわと熱くなる。




「ん……シュンスケ……あったかい……」




吐息混じりの声が耳元に落ちると、頭の奥が痺れるようだった。




彼女の指先が胸元を撫で、やがて腰に触れ、さらには体を絡めるようにベッドに引き込んでくる。




「……もう、我慢できない……」


「……俺も」




その瞬間、エミリーは彼の上に跨り、優しく、けれど徐々に力強く腰を動かし始めた。


最初は優しいキス、甘い吐息、互いの手のぬくもりだけだったのに、数分も経たないうちに、空気は完全に熱を孕んでいった。




「シュンスケ……好き……だいすき……」


「エミリー……可愛すぎる……」




額を寄せ、何度も名前を呼び、何度も触れ合う。




彼女の腰の動きは、最初は緩やかだったが、次第に彼を試すように速さと強さを増していった。


シュンスケはそのたび、彼女の細い腰を支え、彼女の体温を全身で感じた。




「んっ……あっ……シュンスケ……もう、だめ……」


「……まだ、終わらせない」




彼はそっと体を起こし、彼女を抱きしめるように体勢を変えた。


彼女の小さな背中を撫で、耳元に甘い言葉を囁き、さらに深く体を重ねる。




エミリーは何度も何度も、彼の名を呼んだ。




「シュンスケ……だいすき……すき……すき……」




その声が愛おしくて、彼は何度も唇を重ね、何度も彼女の髪に指を通した。




夜は静かで長かった。


一度、二度、三度……どれだけ求め合っても、どれだけ抱きしめても、互いの熱が冷めることはなかった。




彼女が少し疲れたように息を吐き、肩を震わせながら笑うと、彼はそっとその額にキスを落とした。




「大丈夫か?」


「うん……でも、もっとしたい」


「……もう、欲張りなんだから」


「ふふっ……だって、明日帰るんだよ?今日しかないんだもん……」




その言葉に、胸の奥が少し痛んだ。




(そうだ、あと一日しかないんだ……)




だからこそ、彼は全力で応えた。


腕に抱きしめ、腰を支え、唇を何度も重ね、耳元に甘い囁きを落とし、背中に優しく触れ続けた。


彼女も全力だった。


首に絡める腕、細かく震える腰、潤んだ瞳、全てが愛おしく、彼を溶かし、縛りつけた。




深夜を過ぎても、二人の時間は止まらなかった。


ベッドの上で互いの名前を呼び合い、何度も絶頂を迎え、体が熱を持っても、まだ離れられなかった。




「シュンスケ……疲れた?」


「お前こそ……大丈夫か?」


「うん……でも、まだ……触れてたい……」




最後はお互いの体を絡め、シーツに包まれ、優しくキスを交わしながら、静かに、静かに夜を明かしていった。




窓の外が白んできた頃、ようやく二人は深く息を吐き、額を寄せ合った。




「シュンスケ……だいすき……」


「俺も……大好きだ……」




彼女の髪をそっと撫で、背中を抱き寄せ、二人はようやく夢のような長い夜を終えた――。




(続く)





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