鈴木は暖かい人だ。

第15話

「チョコとバニラ、どっちかひとつな。」








































あれから3日後。

雨の土曜日。





無性に甘いモノが食べたくなった私は、近所のコンビニへと足を運ぶ。


そして、入店したと同時に見知りすぎている派手な男の声が聞こえてきた。



反射的に隠れ、こっそりと様子を伺う。





奥のアイスクリームコーナーには案の定、鈴木。


そして、小さな小さな女の子。








「りょうほう、だめ?」


「だめ。晩ごはん食べれなくなるぞ」


「はぁーい……」





まだ小学校入学前くらいの歳に見える彼女に言い聞かす鈴木の姿は、ただの良いお兄ちゃんにしか見えない。からたぶん、妹さんなのだろう。








コンビニに来る前。

相変わらずの着信。

メッセージ。


パニックになりそうな心。

必死に抑える怒り。

堪える悲しみ。








そして何故か思い浮かんだ、鈴木のこと。


相談したい、助けてほしい。

そう強く望んでいた、自分の変化。








走馬灯のように、甘い喰べモノで誤魔化そうとしていた気持ちたちを浮かべていた。


だから、馬鹿な私は気が付かない。








トントン、と指で弾かれ肩。

驚きと共に振り返ればいる、相手に。





「何してんの、清子ちゃん?」








気付くことは、出来なかった。

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