第14話
遊園地明けからのこの3日間、以前よりも仲が深まった私たちは、仲良し4人組のように行動を共にしてきた。
休み時間もお昼ごはんも。
なんなら、授業中だって。
楽しい雰囲気が、溢れ出していた。
だからこそ、さっきの彼女たちは悪意を覚え陰口のスポットライトを私に当てていたのだろう。
「まあ、どっちでもいいけどな。」
「なにが?ていうか鈴木、体育行きなよ。」
「どんな清子でも、清子は清子だろ。」
「………………。」
「つーか清子こそ何サボってんだよ。ずりぃだろ。」
人差し指を向け、普段の自分を棚に上げた指摘をしてくる鈴木。
でも、ごめん。
私、今それどころじゃない。
本当にごめん。
ごめんね。
「大体、春湖だっ……て…………、」
「………………。」
「……清子、 」
「………………。」
「なんで、泣いてんだよ……」
窓の外に伸ばしていた視線を私に戻した途端、鈴木はまた固まる。
それでも、落ち続ける私の涙は止まらなかった。
どうしてこんなにも、鈴木はギャップがあるんだ。
どうしてこんなにも、鈴木は優しい男の子なんだ。
自分を誤魔化すために素直な疑問を全面に考えても、まだまだ熱い雫は留まることを知らない。
“どんな清子でも、清子は清子だろ”
それは、かつての私にかけられた呪いの言葉。
けれど、今の私にかけた鈴木からの言葉は。
私を解放する、間違いのない、救いの言葉だった。
「……ごめん、鈴木。」
「ちょ、清子、」
「私、帰る。ほんと、ごめん。」
「え?待てって!清子!」
勢いよく立ち上がり、鈴木の側から離れて鞄を手に取る。
混乱する鈴木を置いて、私は走った。
湧き上がってくる感情を冷ますように。
誤魔化す、ように。
逃げるよう、その場から去る。
次の日も。
そのまた次の日も。
私が学校へ行くことはなかった。
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