第6話
どんな罰でもある程度は受ける覚悟で静かに頷けば。
「遊園地、行こうぜ。」
「はいはい…………はい!?」
今度は私の声が一気に小さくなり、見る見る内に大きくなった。
鈴木は強引な男だ。
何の責任なのか。
何でいきなり遊園地なのか。
「佐藤と春湖も?」
「まあ…………うん。そうだな。」
「別に、いいんだけど……でもさ、」
「じゃあ決まり。」
“けど”や“でも”という日本語の正しい意味を理解していない気がする鈴木は、清々しい声で嬉しそうに笑う。
その顔と対面すれば、私のちっぽけな抵抗心や反抗心など、宇宙の彼方へ飛んで塵になって。
消えてしまった。
私はつくづく、こういう“押し切り”に弱くて。
甘くて。
馬鹿らしい。
「明後日の日曜日は?」
「空いてる、けど」
「こういうのは早い方がいいからな。その日で。」
「こういうのって?」
落ちてしまいそうな気分をリセットするため、真横にいる鈴木に集中する。
理解できない持論をぽろっと零したそれを、何気ない気持ちで問えば。
「善。」
そう真顔で呟いた鈴木の真意は、ますます分からなくなり。
迷宮入りのまま学校に着いて、溶けて無くなった。
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