鈴木は強引な男だ。
第5話
「はあ!?………………はぁ。」
翌日。
登校中に偶然見かけた鈴木の隣に並ぶ。
そして昨日の春湖へのアシストとして言った事実を引き合いに報酬を要求すれば、鈴木の声は一気に大きくなり、見る見る内に小さくなった。
そんなにテンションの高低差つくるとしんどいよ。
自分に。
なんて、楽に生きるコツをアドバイスする雰囲気でもないそれは私の胸の中で萎んできえる。
「何でそうなった?」
「春湖が失恋したって聞こえてやって来てたから?」
「偶然だわ。見当違いだわ。」
並んで歩幅を合わせてくれる鈴木は「なんでそんなことになんだよ清子の思考は」等、私への不満を落とし続けていた。
どうやら私は、勝手な勘違いで身勝手な行動をしてしまっていたらしい。
ごめんね鈴木。
背の高い鈴木。明るい髪色は、前から照らす大きな太陽によりいっそう眩くなる。
反比例するように、背の低い私。暗い暗い墨汁をかけたような私の黒髪は、なんの変哲もなく有り続けていて。
ある種の平穏な日々の始まりの中、ふと鈴木の気配が消えた。
「だから清子、責任取れよ」
「責任?」
訳も分からず振り返れば、何故か緊張を漂わせた鈴木か仁王立ちで止まっている。
ぴっしりと纏めたみつあみが、柔らかく吹いた風により微かに揺れた。
ついでにくいっ、と。
教育ママの仕草でズレたメガネを直す。
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