第4話

明日、鈴木と直接コンタクトを取って私のこのナイスアシストにチョコレートでも買ってもらおう。


という薄っぺらい愚案をしたところで、目の前にいる春湖と隣りにいる佐藤の目が点になった。





なんですかその不意をつかれた、みたいなお揃いの瞳。








「脈ゼロねこれは。不憫な鈴木。」


「あいつ、天の邪鬼だからなあ。」





そこまで言わなくても、春湖。

鈴木、聞いてたら泣くよ。


それと佐藤。

その意見には激しく同意。

今日のお昼に同じこと思ってたよ。





恋って上手くいかないなぁ、なんて他人事のように窓の外へと視線を伸ばす。


もうすっかり散ってしまったピンク色は、元気な葉桜を咲かせていた。








「どうする?いっそ遊びにでも行ってみる?」


「鈴木、飛んで喜ぶと思う。無表情で。」


「あたしも付き合うわよこうなったら」


「俺も基本的には協力体制」


「決まりね。」





教室内にいても、春の陽気さが直接に伝わってくるような長閑な空。


見上げていれば、予期せずポケットに収まっていたスマホが短く動く。








好き勝手によく分からない会話を続ける2人を他所に、届いたメールを確認した。














その瞬間、私の心は高鳴って。

それ以上に、深い闇の底まで沈むのだ。














“恋って上手くいかない”



それは誰しもに言える。

決して、他人事ではない現実なのかもしれない。

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