第13話

大体の人間の背より高いじいちゃん家に備わっている殆んどの窓ガラスは、もはやそれぞれが入り口と化しており、日中は大体開け放したままだ。



どの部屋にいても視界には入る開放的な庭には、ついさっきから留まっている、見慣れない4つの自転車。



舞い込んでくる心地よい春風にあたりながら、それらの持ち主である目の前の男の子たちに視線を移す。




「えーと……今日、東京からここに帰ってきた、しずか、20歳です。じいちゃんの孫にあたります。以後、お見知りおきを。」



正面を向いたまま、にこりと行儀よく微笑んだ。



みんなと同じように自分にも入れた暖かい緑茶、湯呑みを持ち、ゆっくり喉へ流し込む。




「じいちゃんの…孫…?」


「そうそう。あ、母方のね。プチ情報。」



たん、と静かにそれをテーブルに戻し、ぽかーん、と惚け顔で呟き首を傾げた左端に座る細身の男の子を、手のひらで指した。




「じゃあ、どうぞ。お願いします。」

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