第5話

本当にたまたま通りかかったバス乗り場で、たまたまここへと辿り着ける夜行バスを見つけ、たまたま財布の中にチケット代分のお金があったから、購入してしまいまして。



懐かしのじいちゃんとばあちゃん宅に、帰ってきたんだ。




『大体、どうするのよ…仕事は?』


「それがさ、聞いてよマイマザー!じいちゃん家に向かう途中にコンビニあってさ!田舎でこじんまり経営してるとこで『東京のコンビ二で働いてました!』って面接で意気込んだら、なんと、受かった!やったりました!なので、明日からばりばり働きまあす!」


『受かったの!?そのピンク頭で!?』


「いえーす。すごいよね?」



そして今現在、受話器の向こうで怒り爆発の我が母と、戦っている。畳の上で、正座して。




あと一週間もすれば4月も終わる、今。



母さんの小言を聞き流しながら、家中にある全ての窓が開いている御蔭で入ってくる心地よい風に、そっと目を閉じた。

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