第40話

斜め前で何かの書類を確認している彼女。

本来ならば、普通ならば、気付く人のほうが少ないだろう。





けれども、だ。


にゃーあと私との関係ともなれば。

しかもそれがレンさんに関することならば。


私の勘は世界一の鋭さに成長するのよ。

残念ねにゃーあ。








「……なんですか?」


「ねえ、にゃーあ?」


「………………はい。なんでしょう。」





案の定。熱視線を送っていただけなのに、確認作業を止め顔を向けてくる彼女。



もうその時点で、黒決定じゃないよ。

にゃーあ、あなたチョロいよ。








「なんか知ってる?知ってるよね?てか、敢えて今まで黙ってたよね?」


「…………差し出がましく告げることでもないかと。」


「告げろ。今すぐ告げてみろ。」


「そもそも、詳しくはよく……それに、その時期のvegetablooseに関しては秘密厳守なんです。知ってるのは、社長とチーフマネージャーと一部の幹部役員だけで、」


「じゃあ、なんでにゃーあは知ってるの?」


「(………………)」





端切れ悪いことなど滅多にない相手のしどろもどろな様子に、確信は更に高まった。





にゃーあ、知ってるなこれ。

ていうか、やっぱりにゃーあって。





諏訪さん……チーフマネージャーと、親しいよね?

深い間柄、だよね?








チーフマネージャー兼vegetablooseのマネージャーである諏訪さんと。私のマネージャー兼相棒兼姉兼母兼祖母でもあるにゃーあ。


2人のやり取りには、ここ数年で数えるほどしか見てきてはいないけれど。


そのどれもこれもが、仕事上でのものだったけれど。








分かるよ、にゃーあ。


誰が何を言わなくても、私とレンさんの関係を知ってくれているにゃーあと同じように。



私にだって、分かれるんだよ。にゃーあ。








だから、深く問い詰めたりしない。


諏訪さんの薬指にある法を跨いでの束縛とか。

未婚のにゃーあとか。


私はなんにも、聞かないよ。





にゃーあが好きなら、それはそれで。

私は見守るよ。

何があっても、私はにゃーあの味方だよ。

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