レンさんは秘密主義
第39話
🎸
「……なに、これ。」
「?生放送の音楽LIVE番組ですね。」
「んなこたぁ分かってるよにゃーあ!」
絶賛公開中の主演映画、その宣伝として出演するバラエティ番組。待ち時間の楽屋にて。
はじまった長寿番組、お馴染みの司会者さんが最新の音楽ヒットチャートやアーティストさんたちによる最新曲LIVEをお送りするそれを眺めていたところ。
『続いてのゲストはvegetablooseの皆さんです』
まさかのレンさん登場に、邪な瞳しか向けられないという状況に陥る。
だってですね、レンさん。
私たちが会ったのはこの前の…………あの、例のあれが最後でしてですね。
なんなら連絡すら取り合っていない現状でしてですね。
『今日はクリスマスイブイブということで、皆さんはクリスマスイブやクリスマス本番のご予定はあるんですか?』
そうなんですよね。
アシスタントの可愛らしいアナウンサー様の言う通りなんですよね。
私、レンさんからなんのお誘いも受けてない。
予定さえも、聞かれていない。
私からも怖くて、誘えないし聞けもしない。
そんな時、だからこそ。
こういう時のレンさんは、必見必須なのに。
出るなら出るって、教えてくださいよ。
薄情者。
『それがですねぇ、全員で里帰りなんですよねぇ。イブからクリスマスの朝にかけて。』
『色気ないでしょう?』
テレビの中。
のんびりとしたソウさんの声に、心が痛む。
笑いを誘ったマモルさんの声に、痛みは広がる。
こじんまりとした畳の楽屋。
にゃーあと2人きりの空間で、潤んできた双眸を必死に堪えていた。
「…………べじるーって去年の冬は、全く活動してなかったのに。」
「いつものことじゃないんですか?彼ら、年末の音楽特番は全て辞退してらっしゃいますし。」
机に両肘をつき、手のひらで頬を支える。
電気ストーブの熱を背中で受け止めながら、ぽつりと零れた疑問に隠す、不満。
俯き投げやりに口角を上げたところで、いつも以上にピシャリ口調なにゃーあに視線を伸ばす。
「(……ん?んん?んんんんん?)」
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