赤い糸を夢見た

誰からも望まれぬ婚姻だった。
魔族の国で育った人間の皇女と、人間の国で育った魔族の王子。二人の関係は、血塗られた歴史を持つ二つの国を結ぶための、政略結婚にすぎない。
疎まれながらも、皇女は愛する家族と祖国のために、静かに為すべきことを果たしていく。やがて、ぎこちなくも互いに歩み寄り、心に触れ、確かなつながりが芽生え始める。

恋ではないと知っていた。それでも、これは確かに――愛だった。

同じ未来を見ていけると信じていた。儚くも美しい、二人の愛が辿り着いた結末。





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