食欲
三大欲求、というものがある。食欲、睡眠欲、性欲の三つの欲のことで、生命の維持に必要な本能的欲求であると言われる。
このうち睡眠欲について、私は生まれたときからこれが薄かった。良いことなのか悪いことなのかは分からないが、とにかく薄かった。さらに性欲についても、今はそこまでではない。つまり、現在の私の生存本能は食欲に集約されていた。
食べて、貪って、喰らいつく。ムシャムシャと食べて食べて食べまくる。日々こうしているたびに、食べる側になれてよかったなんて思いが湧いてくる。しかしそんな感情も美味しい食べ物の前には消えていく。ムシャ、と目の前のアジを戴く。油が乗っていて実に美味である。
そこで、ふと私は気がついた。喉に何かが引っかかっている。魚の骨でも刺さってしまったのだろうか。どうにか抜こうとするも、どうにも取れてくれない。瞬間、私は物凄い力で上に引っ張られた。その力のかかる部分は喉。なるほどこれは、骨ではなく針だ。痛い痛い痛い。そう思っている間に、私は海から釣り上げられた。
「釣れた! マグロだ!」
ああ、どうやら私は人間の食欲に敗北したようだ。
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