第2話SUSHI☆FIRE

――「生魚がダメ? OK, Baby. なら俺が世界を調味料で塗り替えてやる。」



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少女は腕を組み、プイと顔をそむけた。


「だから無理なの! 生魚はキモいの!」


マイケルは地面にしゃがみ、空を仰いだ。

「OH COME ON! 食べず嫌いガール、君は世界のSUSHIドリームを拒絶する気か!?」


「……誰が食べず嫌いガールよ!」


「じゃあ駄々っ子エブリデイ? それともサカナ・アンチプリンセス?」


「……キャシー! 私の名前はキャシー!」


ドンッ! と少女――いやキャシーは叫んだ。

マイケルはニヤリと笑い、親指を立てる。

「キャシー、いい名前だな。だが俺にとっては“NO SUSHIシスター”だ。」



---


二人は「ハマチ平原」へ足を踏み入れていた。

金色の草が風に揺れ、遠くに見える青い城壁。


「リュウグウ王国……そこに行けば、元の世界に戻る手がかりがある。」

キャシーは真剣な顔で説明する。


だがマイケルは突然ピタリと足を止めた。

彼の目が見開かれる。

「WAIT… WAIT A SECOND!」


キャシーが怪訝な顔をする。

「なに?」


マイケルは胸に手を当て、大げさに叫んだ。

「The problem isn’t the FISH! The problem is the FLAVOR!

生魚が受け入れられないのは――ソイソースとケチャップが無いからだッ!」


バァァァァン!

雷鳴のような衝撃が脳を走る。

キャシーは絶句した。


「いや、待って。なんて?ケチャップ?」


「WHY NOT!? ケチャップが世界を救うんだ! This is AMERICA, baby!」


マイケルは叫ぶやいなや、平原を逸れて全力疾走していった。

「HEY! どこ行くの!?」

キャシーが追いかける。



---


その先に現れたのは――


巨躯のモンスター。

真っ赤に輝くボディ。

肩からはツタのような蔓が生え、頭部は巨大な…トマト?


トマトガーディアン

危険度6。テキサスニンジャ5人と互角。

キャシーが青ざめる。


だがマイケルは笑った。

「テキサスニンジャ5人? 上等だ。俺はSUSHI☆MICHEALひとりだ。」


ドゴォォォン!

ガーディアンの拳が地面を砕く。

マイケルは宙返りでかわし、拳を突き出した。


「I GOT IT! コイツを加熱すれば――ケチャップになる!」


キャシー「はあ!?」


次の瞬間。


マイケルは口を開いた。

「BURNING SUSHI BREATHHHHH!」


ゴォォォォォォォ!

突如として口から炎が噴き出す。

(何で炎が出るって? しらん! JUST DO IT!)


炎に包まれたトマトガーディアンは、ギュゥゥゥと縮んでいき――

最終的に、瓶詰めされた赤いソースへと変貌した。


「ゴーレム・ケチャップ……。Smells like… ワシントンの朝の喧騒だ。」

マイケルは瓶を掲げ、勝利のポーズを決めた。



---


川辺に戻り、マイケルはダイナソーサーモンの握りを取り出す。

ゴーレム・ケチャップをドバァッとかける。


「さあ、キャシー。これでイケるはずだ。Taste the future, baby!」


キャシーはおそるおそる手に取った。

一口かじる――直前に、彼女は顔をしかめて言った。


「……生魚にトマトは、合わない。」


ズガァァァァァァン!

マイケルの心がまたしても粉々に砕けた。


「WHAT THE HELL!? せっかくのワシントンモーニング・ケチャップが!?」


キャシーはそっと寿司を置いた。

その横で、夕日が赤く燃えていた。


「OK… OK…わかったよ。寿司×ケチャップはNG。だが俺はあきらめない。次は……ソイソースだ!」


マイケルの目に、再びアメコミ的な光が宿った。

彼らの冒険はまだまだ続く。


ゆけ!マイケル!


まけるな!マイケル!!


そう彼こそが

SUSH

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