第7話 「圧倒的実力」

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注意喚起:この作品は、ゲーム:「モンスターハンター」シリーズを最新作までプレイした後に読むことをお勧めします。

知らない人にもわかるように必要があると判断した場合には都度解説を入れますが、内容に大いに関わってくることをご承知ください。

以上の内容をご理解いただけたなら、ゆっくりしていってね!!!

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ロヴィの家を出て、他に何のモンスターの真似が出来そうか考えていた時、

曲がり角から唐突に現れた男に、正面から衝突してしまった。


男「…あぁん?何ぶつかってんだお前」


ハルカ「あっ…ごめんなさい。」


そうやってすぐに謝ったものの、どうやら相手は怒っているようなので、


男「謝って済むと思ってんのか?」


と、威圧感を放つ。

その男は頭に角が生えていて、若干他の人間とは違うようだった上に、頭も少しおかしいようなので、一瞬の逡巡の後に踵を返して家に戻ろうとしたら、


男「待て待て待て待て」


と、言われたので、振り返って待つ事にした。


男「見てわからないのか?俺は竜人なんだぞ?」


ああ、角はそれか。と、自分の中で納得して、言葉を返す。


ハルカ「…僕も竜人だけど?」


と。

ロヴィから、僕が多分竜人であると聞いた。

僕自身も、説明を聞いた時に恐らくそうなのだろうと思っていた。


男「…うるせぇ!角が生えてる奴のほうが強いんだよ!そんな事も知らないのか?」


そんな事を言われても、僕が何をすればいいかなんてわからない。

だから僕は、その男に質問をする。


ハルカ「で、何がしたいの?」


どうやら、その態度が反抗的なものに見えたようで、その男は突然拳を振るってきた。

その拳を、寸前のところで回避する。

拳に勢いをつけるための予備モーションのある攻撃のフレーム回避ができないようじゃあ、狩りなんてできっこない。

動体視力が上がっているのか、反応速度が上がっているのか、完璧に回避しきることができた。


ハルカ「…本当に…強いの?」


今のだけならば、先ほど一瞬で倒した人の方が予備モーションも控えめで戦いづらそうだったな…なんて事を考えていた所

突如として頭上から雷が降ってくる。

完全に予備モーションはなし、このタイミングの回避では間に合わないと悟った僕は、翼を展開してそれを防ごうとした。

だが、雷のスピードのほうが当然速い…被弾するのも致し方なしか…と思っていたが、いつまで経っても、衝撃が来ない。


男「…お前、何をした?」


いつの間にか、その雷は消失していた。

当たっていたら、完全に無傷ではいられなかっただろう…

そこで、何故か検閲を通ることにできたその刀に目を向けると、若干電気を帯びているように感じられた。


なんで消えたのかは、僕にはわからない。

でも、きっと、この刀が守ってくれたのだと理解した。

僕は、顔に動揺を見せないように何とか、煽るような言葉を口に出す。


ハルカ「…それが全力?そんなんで僕に勝てると思った?」


その言葉は、その男の逆鱗に触れたようで、


男「…もう法律なんてどうでもいい…お前を殺す…!」


なんとも物騒なものだ。

この世界では、竜人がヒエラルキーの頂点に位置しているという。

特別扱いをされて育ったからこそ…というのもあるのかも知れない。


負けを認めることを、プライドが許さない。


その男はそれを欠いていたが、僕は至って冷静だった。

もう今日一人殺しかけてるんだ…

もうこの後は、何人やったって変わらない。

そして今なら、正当防衛にできるだろう。


その男の放つ雷を回避しながら、それを見様見真似で放ってみた。

祖龍のような真紅の雷が、直撃したが…


ハルカ「使ってくる属性で弱点がつけるわけないよね。」


若干傷を負った程度の負傷しか見えなかったし、さらに怒り狂っていた。

まあ8割方、油断していたところに雷を打ち込まれて気が立っているんだろうな。

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わからない人のための解説のコーナー4

祖龍ミラボレアス:他のどんなモンスターとも異なる赤い雷を使う禁忌のモンスター。全くと言っていいほど資料が残っておらず、唯一登場する文書では、全ての龍の祖と呼ばれている。

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今ので、僕が雷を放つことができるのがわかった。


だとしたら…あれを真似てみよう。


エネルギーを掌に集中させて、それを電気に変換する。

初めは緑色だったその雷が、だんだんと、青く変色していく。

青電主の力は…完璧に模倣できたようだ。


ハルカ「…超電磁球」


僕が今生み出したその電荷を帯びた球体は、磁力によって途轍もない吸引力を作り出して…


男「…!なんだこれは!」


そうして生まれた隙に、射線上に家がないことを確認してから手を大きく掲げる


それは、青電主の頭部が青電荷状態である時に使ってくる、凄まじい破壊力を持った一撃。

環境テンプレのグギグギグやらネセト一式やらを体力満タンから一撃で吹き飛ばす大技


ハルカ「ライトニングブレード!!!」


その刹那、振り下ろした腕とともに、青色の雷が空間を断絶した…

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わからない人のための解説のコーナー5

青電主ライゼクス:モンスターハンタークロスに登場した看板モンスターライゼクスに、二つ名のついた強力な存在としてダブルクロスにて登場したモンスター。

緑色の電撃を扱うライゼクスとは異なり、青色の電撃を扱うため、畏怖を込めて青電主と呼ばれている。

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それだけで、倒れないことは分かっていた。

何なら、傷すらつかないと思っていた。

雷を扱うモンスターの雷属性の属性肉質なんて、0に決まっているから。

まあ一部、そんなこともないやつもいるけど…


ただ、その男は地面に頭を付けていた。

その行動が理解できず、僕が首を傾げていると…


男「もう…やめてくれ…」


と、懇願するような声が、辺りに響いた。

それで戦闘が終わるなら、僕にとっては願ってもないことだけど…一体どういう風の吹き回しなんだ…?


男「これ以上…戦ったら…俺が耐えられない…」


その声に、僕はハッとした。

…どうやら、やりすぎたみたいだ。

半端な火力じゃ倒しきれないと思って、超特殊許可準拠で火力を出したからだろうか…


というか、それしか原因になりうるものはないか。


僕も正直、やりすぎてしまったことに対する罪悪感はある。


だからこそ、彼に手を差し伸べて、

ハルカ「ごめん…ぶつかっちゃって…痛めつけすぎちゃって…」


すると彼は、僕の手を取って立ち上がった後に、深々と頭を下げた。


男「…大変申し訳ございませんでした!!」


と、謝られたので、


ハルカ「謝らなくていいよ。悪いのは僕だから。」


曲がり角で前を見ていなかった僕が悪いのだから、間違いない。

すると今度は、その男がへりくだって


男「いや…俺が悪いんです!ぶつかった時にすぐに噛みついた俺が…!」


と、そんな不毛な争いをしていると、ドタドタと足音がして、


ロヴィ「ハルカ様!何やってるんですか!」


と、ロヴィが大声で呼んできた。

料理中の彼女の手間をかけるわけにはいかないので、彼に向き直って、


ハルカ「ごめんね。じゃあ今回は何もなかったということで」


と言って、ウインクをして、その場を離れた。


ロヴィ「誰かに絡まれてました?」



その言葉に対して、人生が物理的に2周目だからか、不思議と達観したような言葉が口から出てきて…


ハルカ「いいや?誰にも。ただやんちゃな男の子と遊んでただけだよ。」


と、僕自身がやんちゃな男の子であることは棚に上げておいて、そんな事を言うのであった…

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プロハンが転生したら大昔に世界を滅ぼした「邪龍の娘」になったので…!? ハル【ゆっくり実況者兼茶番劇者】 @Harudayooo

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