第6話 「実質的告白」
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注意喚起:この作品は、ゲーム:「モンスターハンター」シリーズを最新作までプレイした後に読むことをお勧めします。
知らない人にもわかるように必要があると判断した場合には都度解説を入れますが、内容に大いに関わってくることをご承知ください。
以上の内容をご理解いただけたなら、ゆっくりしていってね!!!
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城壁の周りをぐるっと周ると、人の立ち並ぶ門の前に辿り着いた。
別に疲れたというわけではないが、飛んできたほうが楽だったかもな…と、心の中で呟く。
ただ、ロヴィの事について、ある程度知れたのは良かったか…
もしかしたら、高所恐怖症だったかもしれないし…と、自分の中で理由を作る。
ロヴィ「ハルカ様!」
唐突に名前を呼ばれたので振り返ると、
ロヴィ「ハルカ様はここの住人ではないので、すぐそばの入り口から入らなきゃいけないと思うんですけど…」
ロヴィ「ハルカ様は、いったいどこの国から?」
と、聞かれたので、
ハルカ「こことは全然違う場所…かな」
と、そんな風に言葉を濁す。
だが、実際にそうなのだ。こことは全く違う世界から、来たのだから。
ハルカ「これが持ってるように見える?」
と、一瞬で返答した。
パスポートなんて、前の人生でも取ったことないし…そもそもこの世界に僕の戸籍があるのだろうか…?
まあ、多分絶対ないだろうな。
ロヴィ「そうですか…じゃあ私の付き添いで入ってもらわなきゃですかね。」
自分の出自が自分でも良くわかっていない僕は、少し不安になって、
ハルカ「…入れるかな。」
なんてことを、呟いたが、
ロヴィ「大丈夫ですよ!竜人様なら猶更」
竜人…?竜神…?龍神…?
どの漢字が当てはまるかはわからないが、それが何を指すのか、僕にはわからない。
…もしかして一乙おじさん?
いやいや、ヒノエ姉さまとかミノトとかの可能性もあるはずだ。
色々と考えてみたが、やはり分からなかったので、また質問をする。
ハルカ「…竜人って何?」
その質問に、彼女は呆れたように言う。
ロヴィ「…竜と人間の間に生まれたとされる種族のことです。…ハルカ様もそうなのでは?」
竜と人間との間に…まあ確かに、言われてみればそうなのか?
邪龍の娘…まあ、そうか。
いや、どうなんだ?
一瞬の逡巡を経て、僕がたどり着いた答えは、
ハルカ「まあバレなきゃいいでしょ!」
と言うものだった。
ロヴィ「まあ私が見た限りだと、竜人だったので、問題はないかと…」
見た目で…判断できるものなのか。
そう言えば、今の今まで僕は自分の姿を一度として見ていない…
というか、鏡を見ていない。
髪の毛が白い事しか、僕自身についての情報がない。
そんなことに、今更気づいた。
ハルカ「僕って今どんな見た目してる?」
と、ロヴィに聞く。
ロヴィ「…どう…と言いますと?」
と、聞き返されたので、僕は、
ハルカ「…翼…ちゃんとしまえてる?」
ロヴィ「ちゃんとしまえてますし、抱き締めたいくらい可愛いですよ。」
と、僕の聞いていないところまで答えてくれた。
ハルカ「抱き締めてもいいけど…?」
彼女にはこれからお世話になる予定だから、良い関係で居たいし、別に拒む理由も無かったので、僕はそんなことを言う。
すると、彼女は目の色を変えて、
ロヴィ「いいんですか!?」
と、今日見た中で一番晴れやかな顔をしていた。
次の瞬間には、僕の頬はロヴィの首元に触れていた。
他の感想よりも何よりも一番最初に出てきたのは
首が…痛い…
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ハルカ様に出会ってから数時間しか経っていない。
だというのに、私は今までの人生で一度もなかったほど幸せな気分だった。
私を守ってくれた恩人が、こんなにも可愛らしいなんて、誰が想像できただろうか?
戦うときはかっこよく、普段は可愛く…こんな完璧な生物が存在していいのか、私にはもうわからない。
しばらく待っていると、私たちに順番が回ってきた。
守衛の人に、私の通行証を差し出すと、いろいろと質問をされる。
ハルカ様は、以外にアドリブ力が高いのか、すぐにそれに返答を返していた。
守衛「出身は?」
ハルカ「ここから歩いて一週間ほどの…小さな家です。」
守衛「滞在理由は?」
ハルカ「今更ながら戸籍の登録と、定住のために。」
守衛「ハルカ…か。苗字は?」
その質問に対してハルカ様は、少し考えるそぶりを見せた後、
ハルカ「ヴィルハイムです。」
と、当然のように言う。
その突然の事に私は、
ロヴィ「ふぇっ//⁉」
と、驚いて情けない声を上げてしまった。
そんな不意打ちは、聞いてない…!
ハルカ様は平然と言っているのかもしれないが、
普通に聞いたら…実質的に…プロポーズというか…愛の告白みたいなものだから…
顔が…熱くなっているのを、自分で感じる。
きっと、今傍から見たら真っ赤になっているんだろう。
これは…あとでしっかりと文句を言っておかなきゃいけないな…と、
そんなことを、私は心の中で思うのであった。
そんな私にとってあまりにも波乱万丈だった門を潜り抜けて、町の中に入る。
私は、頬を膨らませながらハルカ様にずっと文句を言っていた。
ロヴィ「…何考えてるんですか?」
ハルカ「…駄目だった?」
そんな言葉に…心が揺さぶられる。ダメだったなんて…そんな事言えるはずがない。
別にハルカ様の事が嫌いだとか、決してそんなわけではないから。
ただ…
ロヴィ「ハルカ様は…女誑しなんですよ。」
ハルカ様はそれを心底理解できなさそうにして、
ハルカ「僕みたいな美少女が女誑しな訳な…」
ロヴィ「誑しています!間違いなく!!!」
その少女に、少なくとも…私はもう惚れ切っていた。
早すぎると…そう思うかもしれないけれど、そりゃあ、そうもなる。
命を救われた時点で、かっこいいな…とは思っていた。
その心は、透き通るように純粋で、小さな男の子を見ているようだった。
母性…と言うのだろうか。守られた側であるというのに、護ってあげたかった。
しばらく内部を歩くと、目的地の目の前に到着したので、
ロヴィ「…着きましたよ。ここが私の家です。」
彼女は黙って、私が指をさした先に視線を向けた。
しばらく沈黙した後に、ただ一言、
ハルカ「……お金あるじゃん」
ロヴィ「親からの相続なので…」
私の家が割と大きな一軒家であったために、そんなことを言ったのだろうが、生憎と今の私には使えるお金はほとんどない。
かといって、この家を売るのは居なくなってしまった親に悪いから…
…私にそんなことができるはずもない。
開錠してドアを開き、
ロヴィ「どうぞ、入ってください。」
と、彼女に伝える。
少し緊張しているのだろうか…挙動不審になっているような…そんな気がする。
それについて聞くと…
ロヴィ「…緊張…ですか?」
ハルカ「…姉ちゃん以外の女の人の家に入るの…初めてだから…」
と、またとても初心な一面を見せてくれた。
とりあえず入ってもらって、キッチンに向かう。
その間に彼女は、手を洗いに行っていた。
ロヴィ「ご飯はしばらく時間がかかりそうなので…」
と、言いかけると、
ハルカ「じゃあちょっと街歩いてくる!」
と、すぐに出て行ってしまった。
何かトラブルがないか心配だが…まあ、ハルカ様に限ってはそんなことは無いだろう
と、思っていると、私の心配は的中したようで
???「ああん?なにぶつかってんだお前!」
ハルカ「あっごめんなさい…」
言わんこっちゃない…
大丈夫だろうか…ハルカ様に対峙するとなると…
と、考えていた数十秒後には
???「もう…やめてくれ!!!」
という声が、響き渡った。
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