第4話 「終焉の裁き」
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注意喚起:この作品は、ゲーム:「モンスターハンター」シリーズを最新作までプレイした後に読むことをお勧めします。
知らない人にもわかるように必要があると判断した場合には都度解説を入れますが、内容に大いに関わってくることをご承知ください。
以上の内容をご理解いただけたなら、ゆっくりしていってね!!!
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洞窟を出ると、30mを超えるような巨大な木々が連なる森が広がっていた。
元の世界では見たこともないその景色に気圧されて
陽翔「すっげー…」
という感想しかでなかった。
それはまるで、初めてモンハンWildsの世界を見たときのような感覚で…
陽翔「すっげー…高画質…」
と、現実なので当たり前であろうことを口にしていた。
ただ、個人的な問題として、古代樹の森には恨みがあるので焼き尽くそう…
と、考えているとふと我に返る。
陽翔「森を焼き尽くしたらやってることが完全に悪者になっちゃう…」
今でさえ、何のためにあるのかよくわからない真っ黒な部屋を破壊して、刀を盗んできてるし、これ以上やったら本当にまずい。
邪龍…という存在が、御伽噺として伝わっているのか、それとも実在した歴史として語られているのか。
それによって僕への対応も変わってくる…はず。
ただ…それでも、この世界で名乗るための名前を考えなくちゃいけない。
僕はその辺にあった石に腰を掛けて、考える人のポーズをとる。
考える人は考えていないって?
黙れ小僧。
僕が考えてると思ってたら考えてるんだよ!
心の中に唐突に現れてツッコミをしていったよくわからない奴にそんなことを返した。
元の名前が陽翔…我ながらいい名前を貰ったものだ。
だとしたら…姉ちゃんたちに分かって貰えるように面影は残す…か?
というかこういうのって最初に親とかに付けられるもんじゃないのか?
どうして自分が考えなくちゃいけないんだ?
今のうちはそういう物だと割り切って、考える事にしよう…と、僕は考え続けた。
はるあ…はるい…はるう…はるえ…はるお
はるか……はるか…か。
個人的に、気に入った。
それだけの理由で名前を付ける権利が今の僕にはある。
それと忘れていたが、この体は少女になっているのだ。
そういう考えでも、ピッタリな名前だろう。
じゃあ僕は、これから自己紹介ではハルカと名乗れば良い…と。
そもそも僕に自己紹介をするような機会があるのかは知らないが。
名前が決まったので、立ち上がって再び森の中を散策する。
静寂に染まった森からは、たびたび鳥のさえずる音が聞こえてきて、落ち着いて歩くことができた。
その静寂を、一つの音が破った。
ぐぅぅぅぅ〜〜
どうやら僕はお腹が減ったみたいだ。
空腹感と、龍であるのに食事を取らなければいけないもどかしさに苛立っていると、殺気が溢れていたようで、周りにいた鳥たちが一気に飛び立つ。
どうやら、僕に食べられる未来を察したようだ。
それからの、僕の行動は早かった。
一瞬で翼を生やして、一番多くの鳥がいる群れを追いかける。
ただ、鳥たちのスピードもかなり速く、なかなか追いつけなかったので、再び地面に降り立った。
若干翼の形を変形させて、先ほど炎を放った時のようにイメージをしてみる。
エネルギーを放出して、その反作用で動く光景を…
と、そうしている間に、エネルギーを放出したら本末転倒であることに気づく。
じゃあどうするのか…
と、考えていた所、突然頭の中で閃光が走った。
食べ物がなければ、地脈からエネルギーを補給すればいいんだ。
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わからない人のために解説のコーナーその3
天彗龍バルファルク:モンスターハンターXXに登場した古龍で、ハルカが言っていたように、龍気と呼ばれるエネルギーを放出し、その反作用で移動する。
また、大気から龍気の吸収も可能。
それで良かったんじゃね?ってのは無しで。
赤龍ムフェト・ジーヴァ:モンスターハンターワールド:アイスボーンに登場した古龍で、地脈という世界中の地面を流れるエネルギーを自在に操る。
また、特徴としてその地脈からエネルギーを吸収し、ダメージを回復することが可能(他のモンスターは瀕死状態で寝なければ回復しない)。
さらに、必殺技(物理)を持つ(登場時に解説)
以上長めの解説コーナーでした。
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地脈を吸収しようと地面に手をつくと、青白い光が、地面から立ち上る。
疲労感は一瞬にして消えて、エネルギーが体に満ちるのを感じる…が、
ハルカ「……お腹が…減った!!!」
一番大事な空腹が、満たされなかった。
赤龍はいつも…こんな思いをしていたのか…
古龍の王も…可哀そうなものだな…
そう思いながら、その場に倒れ込む。
ハルカ「…誰か…食べ物、くれないかなぁ。」
エネルギーは補給できているから、死なないことは分かる。
でも…だとしても…
空腹は…人間の大敵なのだよ…
と、倒れたまま途方に暮れていると、何かの音…いや、
人の声が…確かに聞こえた。
???「…やめてっ…!…どこ…まで…!」
その声を聴いて、その方向に先程の要領で高速移動をする。
ハルカ「…どうしたの?」
???「…えっ…貴方…どこから…?」
寝転がった状態から移動したためか、地面が大きく抉れている。
そりゃあ、驚くのも無理はない。
その人の方向に視線を向けると、狐のような耳のついた、緑髪の少女がいた。
ハルカ「僕はハルカ…龍だよ。」
早速この世界のために作った名前を披露するときが来て、内心興奮していた。
少女「竜…と言うことは…」
少女「詳しいことは後で…密猟者に追われているんです。」
密猟者…と、言うことは彼女が何らかの特異性を持つということか…?
この世界で初めての対人戦…か。
ハンターとして人間と戦うのは気が乗らないが、やるしかない…のか?
だが、ハンターは、生態系の調和を護るものだ。
本当に密猟者だというのなら、野放しにしては置けない。
負ければ、多分だが僕も捕まる。
龍…というのは、希少な存在である…はず。
不確実な要素が多いが、彼女に向き直って、僕は言う。
ハルカ「…ご飯、ある?」
少女「ご飯…ですか?町に戻れれば…多少はご馳走できますけど…」
その言葉に、僕は、心を決める。
ハルカ「…聞くけど、本当に密猟者に追われてるんだよね?」
と言う質問に、
少女「はい…その通りです。もう…すぐに追いつかれます…ですから…」
男「…狐耳…どこに逃げたんだぁ?」
男「…お前にはもう予約が入ってるんだぁ…おとなしく俺の金になれ」
中年の男…だな。あれは確かに…密猟者、もしくは…奴隷商人か…
僕はその男に、何も知らない少女をふるまって近づく。
ハルカ「…おじさん。どうしたの?こんな森の中で。」
男「……んだよ。狐耳じゃねぇじゃねぇか…」
と、舌打ちをした後に、まるで子供に喋りかけるかのように
男「…緑の髪をした、キツネみたいな耳の生えた子を見なかった?」
と、そんなことを言う。
ハルカ「…見てないね。ここはずっと静かだから。」
相手が僕の事を一般の子供だと勘違いしている以上、これを使わない手はないだろうと、そんなことを思いながら、言葉を吐き出す。
すると、
男「…若干商品価値は落ちるが…コイツもなかなか…だろ。」
と、標的を僕に変えてきたようで、
男「…君…おじさんと一緒に来てくれるかい?」
と、気持ち悪さをむき出しにしてきた。
その瞬間、僕は殺気を放出して、翼を展開する。
それが、威圧には一番いいと思ったから。
男「…んなっ…コイツ…まさか竜だったのかっ…!」
ハルカ「おじさん残念、だけど大丈夫。この世界には天国も地獄もないからね…」
そう言った後に、先程の少女が周りにいないことを確認してから、その言葉を紡ぐ。
その者の罪に裁きを与え、次の輪廻へと歩ませるその禁忌の技の名を…
「
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