第3話 「邪龍のチカラ」
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注意喚起:この作品は、ゲーム:「モンスターハンター」シリーズを最新作までプレイした後に読むことをお勧めします。
知らない人にもわかるように必要があると判断した場合には都度解説を入れますが、内容に大いに関わってくることをご承知ください。
以上の内容をご理解いただけたなら、ゆっくりしていってね!!!
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次に目を覚ますと、そこは「真っ暗な場所」だった。
その場から動こうとすると、手足が何かに拘束されて動けない。
「なんだ…これ、どうして…動けないんだ?」
その言葉に答えてくれるものは、何もなかった。
どうしてこの世界に転生した瞬間から拘束されているのか、どうして、生まれた瞬間から手足を動かせるのかなど、色々と疑問点はあった。
だけど、そんなことより…
「外れ…ない。邪龍の娘なんじゃなかったの?」
恐らく邪龍の「龍」は「龍」であるから、捕獲はできないはず…
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わからない人のために解説のコーナー:
モンハンに於いて、古龍種の別名には「龍」が使われ、他の竜の別名には「竜」が使われるので、陽翔くんは邪龍は古龍種なのではないかと考えているということです。
そしてモンハンに於いて、古龍種は捕獲をすることができないのにもかかわらず拘束されていることから違和感を覚えているのですね。
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大昔に文明を滅ぼしたなんてことも言っていたし、きっと古龍だろう。
そうしてその手枷を力いっぱい引っ張り続けていると、それは音を立てて壊れた。
腕が解放されたのなら、あとは、容易な作業に過ぎない。
殴って破壊すればいいだけだ。
鍵穴があるわけでもないその拘束具を外す策を、僕はそれしか思いつかず、数分間殴り続けた。
数分後には、軽く足を抜けるほどには拘束が弱まり、ついに解放された。
僕はその、真っ暗な部屋を抜けようと、色々なことを試すことにした。
まず、翼で空を飛ぶこと。
視界には何も映らないものの、確かに空中に浮いている感覚はあった。
しかし、ある程度の高度まで上昇するとその部屋の縁に、頭をぶつけてしまって、
「いったー…くない?」
と、自分でも理解できない感覚に陥った。
確かに身体能力が上昇していたことは、拘束具を破壊できる時点で理解していた…が。
どうやら頭は…途轍もない石頭になっているらしい。
そしてわかったことが一つ、それは僕が人間の形をしているということ。
確かに、翼は生やしたり消したりできるようにはなった。
しかし、鱗や甲殻がついている様子が全く感じられない。
何なら、普通に二足歩行をしている。
あとは…まぁ…
自分の着ている服が恐らく破けていること…くらいか。
最初は普通に着ていたかも知れない。
だが、恐らく翼を生やしたタイミングで破れてしまった。
つまり、僕はきっと傍から見たら服の破れた美少女…ということになるのだろう。
見世物にされていたら、きっと羞恥心で瀕死になっていただろうが、ここは真っ暗な空間。
僕が最初に出てきたのがここで良かった…と、心から安堵した。
どうして美少女だと断言できるのか、それはひとえに、
姉ちゃんも優愛も美少女だから、オセロ方式で僕も美少女になる…ということだ。
僕が何を言っているのかわからないだろうが、僕も自分が何を言っているのかわからない。
暗闇で削られる精神力はかなり多く、すぐにSAN値ピンチに陥ってしまった。
一時的狂気を発症しました。1d10を振ってください…だな。
そんな冗談は程々にして、数十歩歩くと、すぐにその空間の縁にたどり着いた。
そしてその壁を、力いっぱいに殴る。
ただ力を込めて殴っただけなのに、地面が震えて、壁にヒビが入った。
そこで僕は龍についての常識を思い出す。
それは、
「龍なら…ブレス使えるんじゃない?」
ということだった。
しかし、流石に口から吐くのは絵面的にどうなの?ということで、
「ブレスを手から出したら実質魔法だよね。」
と、この世界に溶け込むことにした。
…まあ溶け込むのはここを出れたらの話だが…
そうして僕は、炎を放とうとする。
ただ、どれほど力を込めても、僕のその掌の上に火球が出現することは無かった。
どうしてできないのか、わからない。
故に前世で少ししか持っていない魔法に関する知識を振り絞って考えると、一つ、思い出すことができた。
漫画かなにかで、魔法はイメージの世界…と言う話を、聞いたことがある。
だとしたら、ブレスもそんな感じだろう。
再び腕を構えて、自分の中でイメージをする。
その瞬間に、エネルギーが掌に集まり始めて、光球を形成する。
それを前に突き出したとき、全てを焼き払う程の劫火が手掌から流れ出した。
それは、鋼鉄を溶かすほどの威力を持つ炎。
その火力によって、「真っ暗な場所」の壁は崩れ落ちた。
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分からない人のために解説コーナーその2
劫火:黒龍ミラボレアスが
効果は、喰らった相手が即死する。
文字通りの、必殺技である。回避するためには障害物に隠れるしかないが、その障害物を全て溶かすほどの圧倒的な火力を見せつける。
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崩れ落ちた壁の先に、洞窟の出口が見えた。
外に出るとなると、さっき破れた服じゃ心許ないだろう。
だから僕は、さっきのような感覚で、服を修復しようとする…も、うまくいかない。
これはまた…どうしたものか。
とりあえず差し込んだ光の方へ向かっていったところ、
一本の刀が、地面に突き刺さっていた。
その刀のそばに、その刀が収まっていたであろう鞘が寄せられていた。
その太刀に、力を入れて引き抜くと、長身の刀が姿を現した。
妙に既視感を覚えるようなその刀は、所々にひびが入り、今にも崩れてしまいそうだった。
それを両手で持ち、鞘に納刀する。
刀を納めたとき、ようやく僕はその刀の放つ圧倒的な圧力に気づく。
これは…なんだ?
多分、抜刀時には圧力が強すぎて気づけなかった。
魔法のあるこの世界だと魔力…と言うのだろうか。
兎に角…その圧力は凄まじいものだった。
それは、邪龍の力を持っているはずの、僕を骨の髄まで震え上がらせるほど…
そこで僕は、天才的な閃きをした。
「…龍封力…?」
龍封力…というのは、名の通り龍を封じる力。
僕が知っているのは、その龍の持つ固有の特性を封じることができるということ
だけど、今僕の手の中にあるそれは、龍に身を滅ぼしかねないほどの強い憎しみを持った最高の職人が命をかけて作った…
そうでなければ、作れるはずがない。そうでなければ納得できない。
もはや、龍の力を封じるだけでなく、龍そのものを封印し得る力を感じた。
そんな、龍を殺すためだけに作られたような刀を、腰に携える。
持っていて、損はないだろうし、使えるものは全て使え、という名言もあるしね。
ちなみに服は背中の方が綺麗に裂けていたくらいで放送禁止にならない程度には残っていたので、ある程度なら大丈夫そうだった。
……まあこの体は貧乳だし、そんな破れるような衝撃は受けないだろう。
そんなことを考えながら、僕は目と鼻の先にある洞窟の出口へと向かった…
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王宮の中が、普段よりも騒がしい。
その理由を考えていると、一人の兵士が私の戸を勢いよく開けた。
兵士「…陛下!伝令です!」
???「何だ?」
兵士「邪龍の封印が…崩壊しました…!」
???「なっ…」
それは、私の人生で受けた伝令の中で最悪のもので…
兵士「総力をあげて捜索、および臨戦態勢の確立を行います!」
???「封龍剣は…?」
と、唯一対抗できるような武具であるそれに、縋ろうとするも
兵士「現在所在不明…!邪龍が破壊したものと思われます!」
と、その希望すらも、失われてしまった。
それでも私は平静を保って、
???「理解した。くれぐれも、深追いはするな。」
???「一挙手一投足が、この世界の崩壊を招くと思え…!」
私のその命令に
兵士「ハッ!!!」
と、敬礼をして、部屋を去っていった。
邪龍が復活した…にしては、その力を感じない。
長期の封印で、力を使い果たしたのか、それとも、力を隠す術を身に着けたのか…
前者であってほしいと願うが、そんなことが、あの龍に限ってあるはずがない。
私は、救援を求める為に旧友に連絡をすることにしたのであった…
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