第5話




 ヤーサ達はヤーサが前に迷い込んだ庭園で鬼ごっこをしている。


 またあのテラスにいるかなー?と思い行ってみたがいなかった。


 エルは風邪をひいてダウンしているのにそんなことは頭からぬけ去っていたヤーサであった。


 どこにいるかなーと鬼ごっこをしていることも忘れ探し回る。


 そしてふと上を見たらサッカーをしていた時と同じように窓からこちらを見ていたエルと目があった。


 途端ににこやかに手を振るヤーサ。


 ヤーサと目があったとき嬉しそうな顔で手を持ち上げようとしたエルだったがすぐにはっ、と顔を背けあげかけた手を下してカーテンをしてしまった。


 さて、場所はわかったが、どうやってエルの部屋まで行こうか少しだけ思案にくれる。


 流石のヤーサも屋敷内に勝手に入るのは抵抗があるのだが、タイミングよくダンディなおじ様が通りかかった。

 

 入学式の日に見たことがあるのを思い出し、エルの父親であろうと当たりをつけた。


 そして、 これは丁度いいと許可を貰うこととする。


「ねぇ、おじさん、エルちゃんの部屋入ってもいいー?」

 

「君は?」


「ぼくー? ぼくはね、エルちゃんのくらすめいとだよー」


「ほう、今日はお見舞いで来てくれたのかい?」


「うん、そうだよー。あとサンちゃんと遊びにきたんだ」


「そうかい、ありがとね。エルの部屋は階段を上がってすぐのところだよ。……エルの事、よろしくね」


「うん、ありがとー!」


 さくっと許可もとれたのでヤーサははしゃぎながらエルの所へ向かう。






「旦那様、よろしかったので?」


「……問題ないさ。アイツには悪いがもう貴族が威張れる時代も終わりを迎えるだろう。『兵世の四賢者』がもたらした知識、主張で世界は大きく変わる。これはほぼ確実であろう」


「……そうですな」


「しばらくは混乱の時代が続くだろう。それでも我々も取り残されてしまわないように可能な限り早く、できる限り上手いこと適応していかなくてはならん。願わくば彼が新しい風となってくれることを祈って」






 あとに残ったエルの父親とその執事の会話はとても苦々しいものだった

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