第3話


「おはよーエルちゃん」


「…………」




 入学してから欠かさず挨拶しているヤーサだが今日もまたエルには無視されていた。


 ただし、それはヤーサに限った話ではない。


 入学してから一ヶ月、エルはヤーサどころか他の誰が話しかけても無視したり常に周囲を威圧している。


 そんな威圧もいざ知らず、ヤーサからしてみたら可愛らしい様子にしかうつっておらず、話しかけるのを躊躇わせるものになりはしない。


 だが、周囲の反応はヤーサとは異なる。


 ここまで四方八方に敵意をむきだしてる様子を見て好意的に接することが出来るものは中々居ない。


 早い話、もうすでにエルはクラスで浮いてしまっていた。

 

 クラスの人気者であるヤーサがどんなに話しかけても無視している事も大きく影響している。




「おいエル、そんな奴ほっといてさっかーしようぜ」


「おいそんな奴とか言うなよ、ふけーざいになるぞ」


「はっ、なるわけないじゃん、しょせん口だけだよ。にーちゃんがいってたし」


「『立場は学園内では関係ないって学則があるのに立場を威張るやつはただのあほだから相手にすんな』ってうちのにーちゃんも笑いながら言ってた!」


「…………」




 周りの人たちがエルを叩くかのような話題に悪口などが嫌いなヤーサはムッとする。




「おいおい、そんな怒るなよ。冗談だっつーの」


「もう、そ-ゆーの『空気読めない』っていうらしいぞ」


「悪口で盛り上がるくらいなら、僕はその『空気読めない』ってのの方がいい」


「……ごめん」




 ヤーサがムッとしながら咎めると周りはしゅんとして次々と謝り始めた。




「まぁ、いいよ。それよりさっかーしようぜ」




 ヤーサが元の話題を出すと皆はしゅんとしてたのが嘘かのようにはしゃぎ始めた。




 さっかーをしている最中クラスの窓からエルが見ていたので大きく手を振ったがエルはついつい手を振り返そうにする素振りをしつつも、すぐに我に返りそっぽを向いてしまった。


 しかし気になるのかエルはその後もちょくちょくヤーサの方を見ては何度もたまたま同じタイミングで窓を向いたヤーサと目があい、そっぽを向くを繰り返していた。

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