ゴルトベルク王国のおはなし
@yuyu---
ゴルトベルク王国のおはなし
むかしむかしあるところに、村のはずれの山の麓に小さな一軒家がありました。一軒家には、小さな男の子が家族と暮らしていました。
男の子にはお気に入の本がありました。
毎晩、寝る前その本を読んでもらうのが楽しみでした。
今夜も、いつものように寝る支度をすませ布団に入り、お話を読み聞かせて貰っています。
ある王国で
王子様とお姫様の間に赤ちゃんが生まれました。
しかし、とても夜泣きがひどく、王室のみんなはなかなか眠れないのでありました。このままでは、赤ちゃんもお城のみんなも倒れてしまいます。
誰か、赤ちゃんを満足させる物語を書いてくれないかのうと、この国の王様が言いました。
その話は瞬く間に広がりました。
お城では侍女たちが物語について話しています。
やはり可愛らしいお話がいいと思うわ。綺麗なお花畑や可愛らしい蝶が出てくる物語はいかがかしら。
侍女たちのお話はとまりません。
その話を聞いていた騎士も物語について考えてみました。
ぼくはわくわくする冒険物がいいと思うよ。いつだって冒険は男の子のロマンさ!
冒険に出た先で雄大な自然を感じられるお話がいいね、世界はとても広いんだ。アルプス、アラブにマッキンリー!
船で航海に出てもいいよね、と他の騎士達も盛り上がっています。
話はどんどん広まり、門番、街の人にまで広まりました。
花屋に鍛冶屋、パン屋もいます。
みんな楽しい物語を話したり考えたり。
ロッキングチェアに1日中座っている眼鏡のおばあちゃんも沢山のお話を知っています。
話は、羊飼い、狩人まで広まり
ついには森の奥深くに住んでいる魔法使いの家にまで届きました。
魔法使いのおばあさんは、なにやらゴニョゴニョと唱えながら一晩中大きなお鍋をかき回していました。鍋から湯気が赤になったり青になったり黄色になったり、、、
一体なんの魔法を使うのでしょうか。
朝になり、森では動物たちもこのお話の事で話がもちきりです。うさぎにリスにきつつきに、キツネにクマにオオカミに。
みんな沢山の楽しいお話の主人公たちです。
さて、今日はお城でお話のお披露目会です。くにじゅうのたくさんの人や動物が集まったのでその会は、10日間にもおよぶとても大きなものになりました。
動物のお話や星のお話
魔法のお話やちょっと怖いお話まで
みんな少し疲れてしまいましたが、それ以上に満足感で溢れていました。
お城の赤ちゃんも、たくさんのお話を聞かせてもらい毎晩ぐっすり眠れているそうですよ。
おや、いつの間にか
布団の中の僕も幸せそうに寝息をたてています。
ゴルトベルク王国のお話を聞いたからでしょうか
それとも今までのお話は、僕の見ている夢なのでしょうか。
しんと静まり返った夜空に、まんまるお月さまが優しく見守っていました。
おしまい
ゴルトベルク王国のおはなし @yuyu---
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます