閑話 こちら側の話
八月、現在の気温は三十一度。今日も真夏日だ。今日私はとある少年の家に来ていた。
「暑いです」
「知りません。論文まだ途中なんですから早く書いてください」
「どうせ全部添削するんだったら最初から神奈さん書いてくださいよ」
「一応あなたの研究結果なんですからあなたが書いてください。私、その分野の研究はしてないんでわからないんですよ」
ヒイラギ カンナ ヒマワ ソラ
そう。私こと柊 神奈はこの少年、日真環 宙に論文を書かせている。
きっかけはそう、私の研究室に着信音が鳴り響き、それに出てしまったことだ。
話をまとめると教授の知り合いの子供に何年も家に引き籠もって研究し続けている、十六歳の男の子がいるから会って研究成果を一度見てきてほしいとのことだった。
正直あまり気乗りはしなかったが、高校生くらいの子供がどんな研究をしているのかは気になったので重たすぎる足を上げた…のだが。
「これはいつ研究を?」
「それは十歳の時ですね」
「こっちは?
「それは十一歳の時です」
最初に部屋に入った時には部屋の中は研究結果の紙で足場がないような状態だった。
しかも驚いたのはその研究内容だ。
太陽やペテルギウス、シリウスなど、様々な恒星の詳細がそこら辺の論文よりも正確に、緻密に書かれていた。
十六歳という年でこれら全て一人で研究したとでも言うのだろうか。
本当にすごい。私でも研究を本格的に始めたのは大学生を卒業してからだというのに。
だから私は思った。彼は恒星に対してきっと人の何百倍も興味があり、愛がある。この子なら大丈夫。きっと私達の’’戦力’’になり、活躍をしてくれることだろう。
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