百(ひゃく)の物語 第3話
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🎬 百(ひゃく)の物語 — 第三章
【シーン:夜の新宿・公園】
街灯の下。
CDラジカセから大音量で流れるのは、当時のクラブを沸かせたダンスナンバー。
重低音のビートに合わせ、百がステップを踏む。
最初は一人。
だが次第に足を止める若者が集まり、真似をし始める。
「お前、うまいな!」
「一緒にやろうぜ!」
気づけば、仲間はチームになっていた。
公園の真ん中で踊る彼らを取り囲むように、観客が増えていく。
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【シーン:ダンスバトル】
週末の夜、公園は即席のステージと化す。
他のダンスチームが現れ、挑発する。
「お前ら、どこまでやれるんだ?」
曲がかかる。
輪になった観客が歓声を上げる。
百と仲間たちは交互に飛び出し、ステップ、ウインドミル、シャウト。
相手も負けじと踊り返す。
セッションの熱気は、いつしかフェスのような一体感を生んでいた。
気づけば「ひゃくのチーム」のファンまでできていた。
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【シーン:注目】
噂は広まり、雑誌の特集に載った。
「新宿発!ストリートの新星チーム」
記者がカメラを向けると、百は照れ隠しの笑みを浮かべる。
テレビにも呼ばれた。
音楽番組のバックダンサーとして出演。
画面の片隅に映る百の姿は、キレのある動きで視聴者を惹きつけた。
さらに、有名番組のアシスタントとして、チームごと出演のオファーが来る。
「うちの番組に出ないか?」
だが百は、どこか醒めた顔で答えた。
「いや、いいっす。興味ないんで」
周囲が驚く中、彼は迷いもなく断った。
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【シーン:テレビ局の裏側】
百は実は、テレビ局でアルバイトをしていた。
照明を運び、ケーブルを巻き、業界人の会話を横で聞いていた。
有名な芸能人やディレクターが目の前を通り過ぎる。
だが、彼の心は躍らなかった。
「派手だけど、俺が求めてるのはここじゃねぇな」
ダンスで喝采を浴びても、テレビに出ても――
百の目は、もっと先を見ていた。
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