百(ひゃく)の物語 第2話

しぇりぃえもん

第2話 モヒカンナイト



【シーン:ライブハウス】

百、モヒカン金髪。汗だくでマイクを握りしめる。

観客の視線は一点に集中していた。


「俺が目指すのは――高音で唸らせる叫びとメロディ!

低音で響かせて、観客を魅了する!

シャウト&ダイブ!!」


百の声が爆ぜ、ステージが揺れる。

しかも歌詞は英語。

「これが、俺のヘビメタだ!!」



---


【シーン:カラオケルーム】

バンド仲間と酒を片手に騒ぐ夜。

百がマイクを取る。


🎵 JUN SKY WALKER(S)、KATZE、BARBEE BOYS、X JAPAN、THE BOOM…

歌うたび、部屋の空気が変わる。


「お前、ヘビメタだけじゃねぇな」

「ウチのバンドで歌わないか?」

「オーディション受けてみろよ」


百の声は、既にジャンルを越えて人を惹きつけていた。

伝説のバンドのオーディションにも挑戦。

あと一歩で、夢は指先に触れそうになった。



---


【シーン:歌舞伎町の夜】

ネオンに染まる新宿の雑踏。

歩くだけで声がかかる。

「ボーイやらない?ホストにならない?」

飲み屋では年上の女性客からモテモテ。

気づけば経営者やカリスマにも目をかけられていた。


「ひゃく!ひゃく!」

呼ばれる声は絶えなかった。

ありがたい。でも――

「うざいな、俺、媚び売るのは嫌いなんだよ」

田舎者の警戒心が、彼をクールに見せた。


🎵 BOØWY「B・BLUE」 が街のスピーカーから流れる。



---


【シーン:不思議な出会い】

ある夜、なぜか新宿の有名な占い師に呼ばれる。

足に怪我をしていた百。

その痛みを、占い師は一瞬で見抜いた。


「私が直してあげる」

手をかざすと――じわりと熱が走り、痛みが消えていった。

「動く……!」


「あなたは特別よ。弟子にしたい。必ず連絡しなさい」


百は驚きながらも、運命に導かれているような感覚を覚えていた。



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【シーン:新たな衝動】

ヘビメタでのデビューは叶わなかった。

だが、夢の炎は消えない。


そのきっかけはテレビの中――

チェッカーズ、フミヤがステージで踊る姿。

その軽やかなステップに、百は雷に打たれた。


翌日、新宿の公園。

CDラジカセを置き、フミヤの真似をしてステップを踏む百。

ぎこちないが、汗を流しながら何度も繰り返す。


気づけば、周囲に若者が集まってきた。

「お前、なにやってんの?」

「おもしれー!俺もやる!」


笑い声とビート。

そこに新しい青春が始まろうとしていた。

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