第4話 迷いの道
放課後の校庭に、夕陽が長く影を落としていた。
ぼくは友達の悠人と一緒にベンチに座り、無言で風景を眺めていた。
桜の枝に残る花びらが、まるで時間の流れを映すかのように舞い落ちる。
「なあ、人生ってさ…」悠人がぽつりとつぶやいた。
「またその話?」
ぼくは笑いながら返す。でも、心の奥では共感していた。
「だって、将来どうなるかなんて、誰にもわからないじゃん」
悠人の言葉に、ぼくはハッとした。
将来を考えると、不安と期待が交錯する。
合格した今でも、何かが足りない気がする。
「そうだよな…ぼくも同じだ」
口に出すと、少しだけ心が軽くなる。
家に帰る道、夕暮れの空がオレンジ色に染まっていた。
ぼくは歩きながら、今日の出来事を頭の中で整理する。
友達と話すことで、問いは少し形を変えた。
不安は完全には消えないけれど、前に進む力になる。
夕飯の時間、母が温かいご飯を用意してくれていた。
「今日はどうだった?」
「うーん、ちょっとわかってきた気がする」
ぼくは笑顔を作りながら答えた。
でも、心の中にはまだ大きな迷いが渦巻いていた。
夜、机に向かい日記を開く。
ペンを握る手に力を入れて、今日の出来事を書き綴る。
「人生は迷いの連続。でも、その迷いが道を作るんだ」
文字にすることで、迷いも少し整理される気がした。
窓の外に目をやると、夜風が桜の枝を揺らしていた。
その揺れが、まるで問いを運んでくれるようで、ぼくはそっと目を閉じた。
まだ答えはない。でも、この問いとともに歩み続けることが、ぼくの人生の第一歩なのだ――そう思った。
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