第3話
目が覚める。
周りを見渡すと、ナギがいた。どうやら気づかないうちに私は研究室で眠ってしまっていたらしい。
「アオイ、おはよう、よく眠れた?」
わざとらしく私に微笑みかける。手を差し出して私を優しく起こしてくれた。
「ナギ……ありがとう。」
「ずっとここにいたの?」
「うん……。」
固まった体をほぐすように伸びをした。
「昨日も疲れた顔してたし、見た感じレポートも進んでないし、一回帰ったほうがいいんじゃない?」
「うーん……。」
寝て起きたはいいが、頭が晴れやかになったわけではなかった。ずっと頭の中にモヤがかかっていて、まさに”一寸先は闇”状態だった。思い返してみれば、最近はずっとこんな感じだな、と思い一度家に帰ることにした。
「一回……家に帰る……。」
「送ろうか?朝とはいえフラフラの女の子一人は危ないよ。」
「ありがとう、でも大丈夫。」
ナギのやさしさを断って、ぼーっとした足取りで研究室を出る。
早朝の青く澄み渡った空気が、今の私にはどうしても不快に感じられた。
早速ナギに甘えていればよかったと後悔しながら重たい体を精一杯の力で動かす。まるで私にだけ2倍の重力がかかっているかのように。
「アオイ!」
後ろから声をかけられた。振り向くほどの力は今の私には出せないが、声からしてナギだということは容易に察することができ……
_____ドサッ
そこで私は意識を手放した。
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