第4話 大学の幽霊
恐らく私は、幽霊が視える能力を持っている。私の視界にはっきりと映るその姿を、街を行き交う人々は目もくれずに歩いている。なので多分、私だけが視ている彼らは幽霊である。
春頃から華やかな大学近辺に、田舎の純粋さを体現したかのような幽霊が増える。都会の喧騒の中で、不安気に困惑した表情でウロウロしている姿を、街を行き交う人々は視えていないかのように通り過ぎていく。そして幽霊たちは話しかけることが禁じられているのか、困り顔したまま誰にも聞くことなく一人悩んでいる。
ただこの幽霊たちは秋ごろになると姿を消していく。都会の幽霊としての生き方を覚えたのか、都会への憧れを捨て成仏したのかは分からないが、また次の春頃同じ様な姿をした幽霊たちが姿をみせるだろう。
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