第3話 少女の幽霊
恐らく私は、幽霊が視える能力を持っている。私の視界にはっきりと映るその姿を、街を行き交う人々は目もくれずに歩いている。なので多分、私だけが視ている彼らは幽霊である。
ホテル街にはうら若い少女の幽霊が、仕事疲れの父親を案じてだろう、腕を組んで憑りついている。そして父親たちは疲れを癒そうと少女の幽霊を携えたままホテルに入っていく。ホテルで数時間休憩した父親たちは、亡くなった娘との別れに決心がついたのか、晴れ晴れとした表情でホテルから出てきた。娘は父親への思いを断ち切れないのか、暗い表情に、少し重い足取りで足を若干八の字に開きながら歩いている。彼女たちは地縛霊と呼ばれるものなのか、あまり幽霊について詳しくないが、ホテル近辺から離れられないのだろう、ホテル街近くの公園にて何かを待ち続けている。
疲れを癒した父親たちは社会に戻っていく為に早歩きで雑踏の中に姿を消していく。少女の幽霊たちがいつか成仏出来るよう、心より願っている。
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