三馬鹿捜索編

第3話 疑問

「そういや誰が俺を案内するんだ?」


俺がそう切り出すと来人が手を上げた。


「キノコの家ならわかるよ、案内する。」


キノコというのは、木元 のこれのことだ。

髪型はマッシュではなくただ名前にキノコと入っているからだそうだ。

是自身は嫌がっていないので、みんな親しみを込めてそう呼んでいる。


「そうか、じゃあ俺と来人でキノコを迎えに行ってくる。」


「誰が案内するか決まったところで、行くか」


─────────────────────────────────────────────────────


車に乗り込むと龍騎が話しかけてきた。


「無事に帰ってこい。」


「龍騎に言われなくてもそうするよお前は、ありがとう。」


「そうか、頼んだぞ。」


「ああ、じゃあ行ってくる。」


ワゴンRのエンジンを掛けて発進して、アクセルを踏み、来人の指示する方向へとハンドルを切る。

それが何回か続いた時、来人が話を切り出してきた。


「なあ、もし僕らだけじゃなくて、他の3のAの人間も存在してたらどうする?そこのT字路を右に」


「おう、それどういうことだ?」


「いやあ僕らだけってのもおかしいじゃん、もしかしたら3のA、3年1組かもしれない。市単位でも県単位でも国単位でも、もしいたら、だよ」


「うーんそうだなあ、もし国単位なら言葉が通じずに戦争にでもなりそうだな。」


「ははっ確かにね、うん、起こり得るね。そこ右」


「そうなると思うと怖いなあ、一応対処できる武器を持っとかないと。」


「早とちりだよ、あそこ左」


「了解、でもいずれ食料がなくなるかもだろ?それで野生の獣を狩るとかでも使うし、どっちにしろ必要だ。」


「そうだねえ、あ、着いたよ」


「これがキノコの家?」


「うん、あとの2人はちょっと離れたところにあるから、とりあえずキノコを連れて行こう。」


来人がそう言ってインターホンを鳴らそうとした矢先、キノコが玄関横の窓から銃口をのぞかせ、トリガーを引こうとしているのが見えた。


「来人ッ!」


無我夢中で来人の手を引いて窓を蹴破った。


「うわあっ!!化物!近付くなあ!!!」


「待て、キノコ!俺だ!碧だ!」


「あ...お?碧か?」


「そうだって言ってる!」


「ああぁ...良かった、心の友よっ!!」


「お前の心の友になった覚えはない!!」


─────────────────────────────────────────────────────


「ふう、落ち着いたよ。」


「それは結構。それよりなんでさっき来人に銃を向けてた?てかそれなんだ?」


「これはね、USPの40S&Wっていう銃のガスガンだ。それでさっき来人くんに銃を向けていたのは自衛のためなんだ。言い訳するつもりじゃないけど、ごめん」


「いいよ、キノコ。僕も一人ならそうしてたかもだし。」


「あ、そういえば窓。良くも蹴破ってくれたね碧。」


「すまんかった」


「すまんじゃ済まされないよ!!まあいいけど...。」


「そうだキノコ、そこに止まってるハイエースの鍵あるか?」


「あるけど、何に使うの?」


「何って、運転だよ。そこの車も俺が運転してきた。」


「ええっ!?誰か大人がいるとかじゃなくて!?」


「いないよ、てかいるなら僕達は今頃家でゲームでもしているだろうね。」


「そう、かあ。いないのか。」


「そうだよ残念だったな。俺らも悲しい。だから3のA集めて団結しようとお前ら3人組を集めに来たんだ。」


「そうなんだね、じゃあわかった。はいこれ。」


「おう、じゃああと2人のとこ行くか。」

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