欠片たちの冒険

みぃ

宝石のなまえ




やさしい欠片

昔々、この世界は、きらきらと光る大きな宝石でできていました。その宝石は、みんなの心の中にあったのです。それは、**「やさしい心」**という名前でした。

ある日、やさしい心は、ひどい嵐にあって粉々に砕けてしまいました。小さな、小さな、数えきれないほどの欠片になって、世界中に散らばってしまったのです。

欠片たちは、色々な場所で見つかりました。ある欠片は、お母さんが子どもを抱きしめる温かい手のひらの中に。ある欠片は、道に迷った子猫を助ける勇気ある瞳の中に。またある欠片は、つらい時でも 大丈夫だよ と笑う友達の笑顔の奥に。

でも、欠片が一つだけでは、光はとても弱く、すぐに周りの暗闇に負けてしまいそうでした。

そこで、欠片を持っていた人々は気がつきました。

「この欠片は、誰かにあげると、もっと強く光るんだ!」

みんなが、自分の持っているやさしい欠片を、困っている人、さみしい人にそっと手渡しました。

すると、あら不思議! 欠片を受け取った人の心にも、もともと持っていた欠片がカチリと合わさり、光が二倍、三倍と大きくなっていきました。大きな光は、周りの暗闇を追い払い、世界を明るく照らしたのです。

そうして、たくさんの小さな欠片が集まり、やがて、元の大きな**「やさしい心」**と同じくらい、きらきらと輝く心を持つことができました。

世界はもう、もとの一つの宝石に戻る必要はありませんでした。なぜなら、無数の小さな欠片が、お互いを思いやり、助け合うたびに、どこでも、いつでも、新しく輝くことができるようになったから。


今夜も ひかるよ きらきら



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欠片たちの冒険 みぃ @miwa-masa

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