第2話 チャレンジ

 「あ、ごめん」


 教室に入る時彼とぶつかりそうになって、思わず私は彼に先に入るように扉の前から下がった。が、彼も私と同じように下がって私に扉を譲ってくれていた。私達はお互い一歩進んでは下がるを繰り返し彼はお笑いギャグの真似?をして


「どうぞどうぞ」


と私に先に通るように言ってくれた。私は笑いながら教室に入った。

 それを見ていた友達が〝何?今チャンスだったのに……。もっと話ししなきゃ!〟と小声で言ってきたが、私はあんなに彼を近くで見れただけで満足で幸せだった。


 布団に入って教室での出来事を思い出し、なんか良い夢見れそう……。とニヤニヤして眠りについた。

 夢に彼は出て来てはくれなかったが、今日の射手座の運勢は1位。きっとまた良いことがある。そう思って学校へ行くと下駄箱の所で彼と会う。


「おはよー」


思わず顔を上げて彼を見た。え!?今、私に挨拶してくれたの?ワンテンポ遅れて


「お、おはよー」


ぎこちない挨拶をする。内心私は〝キャーキャー〟って気持ちで上靴を取る手も震えていた。


 ただそれだけ。でも、それだけで私に頑張る勇気が湧いてきた。


 掴めそうで掴めない、手の届かない人。そう思って完全に諦めていたが、足掻いてみたくなった。

 

 いっぱい背伸びして手を伸ばしてみたくなった。

だってこんなに好きになっちゃっただもん。

 挨拶1つでこんなに気持が軽くなる。好きって凄いよね。


「あ、ねぇ、今日の星占い見てきた?射手座1位だったよ!」


「え?そうなの?あれ?俺の誕生日、星座知ってるの?」


「うん。だって体育祭のクラスTシャツに書いてたじゃん」


「あーだよな」


「良いことあると良いね。お互い」


え!?何?お前も射手座なの?と、驚く彼に微笑んで私は友達の元へ向った。








 





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