私の気持ち
aoinishinosora
第1話 私の気持
『シュッポ』
開いて直ぐにスタンプが送られて来た。驚いて思わずスマホを裏返し、その後そっと画面を覗くと、お疲れ様のスタンプがあった。
足をジダバタさせて1人で喜んで直ぐにスタンプを送り返した。
「既読付くの早くてビックリした😀」
「開いたら、スタンプが飛んで来て…。きっと開いたのと同時だったんだね。」
「…以心伝心…。」
こんなやり取りがはじまりだった。
彼も私を思ってくれてるって解った瞬間だった。
それからは毎日の様に連絡が来るようになり、文字から通話になり、いつの間にか会う様になった。
夜景を見ながら彼からの告白。私の不安は年の差5歳。コレを彼は〝俺が、釣り合う様な大人の男になるから…〟と言って私の事を否定せず受け止めてくれた。嬉しくて私は彼の手を握り何度も頷いた。彼は私を抱きしめて、〝大好きだよ。〟と呟いた。
キレイな月が2人を照らしていた。
ある日、彼の自宅にお邪魔して彼の自慢の熱帯魚を見せてもらう。彼の家族に会う緊張感、私を家族に紹介しても良い相手だと思ってくれている彼の気持。嬉しくて恥ずかしくて私は緊張していた。そんな私に気付いた彼は〝俺も家族に彼女紹介するのはじめてで緊張してる〟と囁いて笑った。〝だから大丈夫。〟と私の手を取り自宅へ入って家族に紹介してくれた。私も同じように彼を自宅に招き家族に紹介した。お互い家族にはやはり、年の差の事を言われたが、〝その人しか居なかった。〟とお互い答えていた事が後日解って2人で笑った。
彼はあの日の言葉通りに仕事を頑張り上司や、同僚の評価をあげて係長になった。2人で係長昇進のお祝いの食事の時、彼からのプロポーズがあった。
「係長になれたし、今日伝えたかった。俺と結婚して下さい。」
嬉しくて泣いて頷く私に彼は優しくキスをしてくれた。
「凄く、キレイだよ。」
彼は私の手を握りながら少し照れてそう呟いた。私も彼のタキシード姿をとても格好よく思った。2人の誕生日の間の今日この日私達は結婚する。
昨日と今日だけは4歳差。なんて事ない事だけど私にとっては大きい事。だから、どうしても今日結婚したかった。その夢を彼は叶えてくれた。今日まで色んな事があって、勿論喧嘩もしたけど2人で乗り越えて来た。相手の事を思いやり、支え合ってきた。いつも穏やかで優しい彼、少し我儘な私。今日この日を迎えられて最高に幸せだった。
「見て、月がキレイ。」
「あの日の月、覚えてる?」
彼のその言葉に私は驚き彼を見てそして微笑んだ。
勿論、私は忘れた事なんか一度も無い。40年前のあの日の月を。子育てに忙しくて大変な夜も夜空の月が私を慰めてくれた。彼が飲み会で遅くなった日も月が輝いていた。あの日の月も彼の言葉も忘れた事はない。
私を見つけてくれて、私を愛してくれてありがとう。
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