ロボットが高校野球の指導者になんてなれるわけない

り乃介

第1話 部員ってどうすれば入るの?

20xx年福島。

 東光高校の新学期に、足取り重く、登校してくる一人の生徒がいた。

 「どうせ、今年も入部者ゼロ人なんだろーな…」

 この男の名前は「川田 蓮」高校二年生に今年からなる、高校球児だ。ここで、東光高校野球部について軽く説明しておこう。

 東光高校は言わずと知れた弱小校で、夏の大会一回戦を突破したのは20年前のたった一回だけだった。

 ちなみに、今の部員はこの男一人だけである。

 

 長い、長い始業式が終わると、さっそく、学校の校舎の前に待ち構えて、新入生に勧誘をかけていく。

 「君、野球部に....。無視かよ....。まあそうだよな、今の時代に、ユニフォームなんてアッツイ恰好してやりたくないよね。」

 そうなのである。野球は、ドンドン気温が高くなっているこの時代に、長そで、長ズボンでやることが多い。やりたくない人が多いのも当然だ。

 「まあ、明日もあるし、また勧誘すればいいか。焦る必要もないしな。」

 他の部活が多くの人数で勧誘しているのに、自分だけ一人でやっているのが恥ずかしいだけである。


  家に帰ると、父親が

 「新入部員ははいりそうか?」

と聞いてきた。雰囲気で察してほしかったが、まあ、鈍感だからしょうがないと心に言い聞かせて、

 「まあ、ぼちぼちかな。今年は何人か入ってくれるといいんだけど。」

 さすがに、連合チームから抜け出せることは今年はないだろうと思っていたが、それでも、毎日の練習のために、5人か6人は欲しかった。

 「そういえば、監督はどうなんだ?」

 父親の問いに、蓮はあきれて。

 「駄目、駄目、うちの顧問は野球とかに興味ないから。新しい監督でも来てくれればね。」

 そんな話をしていたら、次の日、話は思いもよらない形で進むことになる。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ロボットが高校野球の指導者になんてなれるわけない り乃介 @Rintarinrin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ