「裏表の影」

人一

「裏表の影」

「ねぇ、占ってよ!」

「またなの?」

「いいじゃない~半年前に占ってくれたおかけで、こうしてあなたと同じ大学に進めてるんだし。」

「それは……あなたがチャンスを逃さずモノにしたからでしょう。

あなたの努力なんだから、私はちょっと背中を押しただけ。」

「まぁまぁ、そう硬いこと言いっこなしだよ~

ねぇ、いいでしょう?」

「……仕方ないわね。」

「ありがとう~おっ、今度はタロットじゃなく……星座表?」

「それで、何を占いたいの?」

「明日気になってる彼と初デートなの。だから彼との相性を見てくれない?」

「(いつの間に……)分かったわ。あなた誕生日は?それと彼の誕生日は?」

「私は8月9日で、彼は……確か4月24日だったはず。」

「あなたは火の獅子座で彼は地の牡牛座ね。

あなた……また難しい……」

「どんな感じなの?やっぱりいい感じ?」

「いい感じかは、正直分からない。致命的にすれ違うかもしれないし、歯車に噛み合うようにピッタリと合うかもしれない。」

「どっちつかずって言うことね。」

「良いようにまとめて言ってるけれど……あなたは情熱で一直線に突き進むけど、彼は現実ベースで1歩1歩進むタイプなのよ。」

「まぁ、私のは何となく当たってるよ。」

「だからさっきも言ったけれど、実際に会ってみないことには判断がつかないのよ。

……まぁ、上手くいくよう祈ってるわ。」

「へへ、ありがと~」

「ほら、そろそろ講義が始まるんじゃないの?早く行きなさいって。」

「はーい。じゃあデートが終わったら、また来るね。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「それで、どうだったの?デートは。」

「それはね~大成功だったよ!」

「え?本当に?どうして?」

「いや~よく分からないんだけど、トントン拍子で進んで気になる彼は彼氏になってたんだよね。

それと――彼の誕生日間違えてたんだよ。4月じゃなくて5月だったよ。」

「あなたねぇ……そりゃ火と地の組み合わせよりも、火と風の方がはるかに相性はいいんだし……」

「また背中押してもらっちゃったね。」

「今回は前提が間違ってたんだし……今度こそ何もしてないわよ。」

「まぁまぁ、そんな硬いこと言いっこなしだよ~

お礼に焼肉奢ってあげるからさ?」

「……飲み放題もつけなさいよ。」

「ふふっ、は~い。」

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「裏表の影」 人一 @hitoHito93

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