恋心よ死んでくれ
@Amet
私の菫
叶わないのならばいっその事、心なんて壊れてしまえばいいのに。そうしたら悲しみも痛みも感じないでしょう?
ガラス玉のような透き通った瞳、君の瞳と目が合って私は君に恋をした。まるで人の心を見透かしているのではないかと疑いたくなるほど、クリアで綺麗なブルーグレーの瞳に私はどう映っていたのだろう。
王を失った王国は廃れ、輝きを失った。古い伝統に縛られた窮屈な社会で民たちは奮闘し、新たな光を手にするため躍動した。彼らは喜びを得られたのだろうか。
夢は夢で終わってくれればいいのに、現実へと続いてしまった。恋の温度はいくらだろう。恋に焦がれて紅蓮の炎に身を焦がすか、それとも灰色で冷たい海に溺れるのか。息が詰まり、胸が痛い。
いい人というのは、自分にとって都合のいい人だ。だが、自分がこの人がいいと思えばそれもまたいい人となり得る。人は他人に期待する、自分にも可能性があると信じ、あるいは思い込ませてでも前へ前へと進みたがる。貪欲な生き物だ。
痛みさえも試練なのか。それを超えれば楽になれるか。超えてみなければ分からない。だからきっと進むのだろう。キラキラと光る星は他の星々を霞ませる。己が崇める1等輝く光を追い求めて彷徨うのだ。標もなく、手元に灯りもない。ただ輝く何かを見上げて足掻くのである。
無邪気な心、そんなものすぐに打ち砕かれるというのに、慈しみ、愛おしく守ろうと必死なのだ。他に手折られぬよう、胸元に抱きしめようやっと時を凌ぐ。
大切に大切に、今日もまた君を想う。
私の菫、白い花弁が幸福を掴むその日まで。
恋心よ死んでくれ @Amet
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。恋心よ死んでくれの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます