第3話今際の際で
「もう、終わりだね……」
「そうだね……」
「ごふっ……だけど……」
「らいと!……っ」
「まだ、死にたくないな……」
「……らいと……」
横たわり、出血する腹を抑えながら愛する人と手を繋ぎ、一緒にいる。
こんな……人生の終わりにこんなに大切な人と一緒に居れるなんて……幸せ以外の何者でもないな……
ほんとに……これが、幸せな時間だ……
終わりに向かっているのは
「でも、ほんとに……よかったの?」
「え……?」
「こんな、終わり方で……」
こんな、終わり方か……
国のために戦って、国の為に命かけて……国のために何も成し遂げられることなく死ぬのか……
別に、いい。
いいんだ、俺の命なんて……
でも、終わるのなら……少しはもっと幸せに終わらせて欲しいかもな……
いや、俺の彼女……カレンと一緒に居るのなら命を懸けた戦いの後にはほんとにありがたいものだなと思う。
やっと……楽になれるのなら……
それだけでいい……
カレンと一緒に、最後のときを過ごせるのならそれでいいんだ……
「はぁ……はぁ……」
「らいとあなた……」
「もう、じかんがない……だから、つたえたいことがある……」
「うん……うん……」
「おれは、カレン……カレンにであって……ほんとに、しあわせだった……」
「それは私もだよ!!」
なんで……ないてるの?
だって、俺を失うことくらい……どうでもいいじゃないか……
そんなことは……ないのか?
「そんなことない!!だって……だって!!」
ああ……そうか……
俺は……カレンにそれだけ愛されていたのか……
気づかない間に……
いっぱい……
いっぱい……貰っていたんだな……
それだけ、俺は……
幸せだったんだな……
ありがとう……カレン……
幸せに、 あの世に逝けるよ……
「嫌だ!!らいと戻ってきて!!」
「むり……だよ……おれは……もう……」
いしきも……保てなくなってきたな……
だけど、でも……
まだ、いきたいっておもっちゃうのはどうしてかな……
それは……
かれんとすごしたひびが……たいせつなものなのかもしれないな……
いやだなぁ……
まだ、しねないや……
かれんのかおが、みえるようにもなってきたかもしれない……
「らいと……」
「かれん……」
しぬんだったら……まだいえないことがあるのならいうしかないんじゃないか……
あいしてる……あいしてるってことをぜったいつたえなきゃいけない……
そうしないと、おれは……しんでもしにきれないんじゃないかとおもう……
だから、つたえたい……
つたえたいんだ……
「かれん……おれは、あいしてるよ……おまえのことずっと……わすれないから……」
「やだ……やだぁ!!らいと!!お願い!!生きて!!らいと!!らいとぉぉぉ!!」
しあわせ……だ……
おれは……しあわせ、だなぁ……
おれをしあわせにしてくれて……ほんとに、ありがとう……いままでも、これからも、しんでも……おもいつづけるから……
だから……
ありがとね。
俺は、この後完全に意識を失った。
TheEND
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