第2話君が大好き

拓斗たくとくーん」


「んー?」


「拓斗くんは私のどこが好きなの?」


「え?」


「え?」


「いや……どうしていつも大好きって言ってくれないのかなーっ」


「?!」


 可愛い……

 いや、可愛すぎるぞ僕の彼女……

 その顔、その声、その仕草……いつも、いつも僕の心を揺さぶってきて、ほんとに可愛いと思ってしまうじゃないか……


 いや、可愛いのは当たり前だし、大好きだって思うのはほんとに当たり前の事なのは充分理解している……

 だけど、言えないんだ……


 どうしても、彼女の事が……


 唯亜いあの事が可愛いって言えない……


 なんでだろう……


 いつもこうだ、大好きなのに……こう、言えずに葛藤してしまう……

 嫌なんだよな……ほんとに。


 僕はちゃんと、言いたいこと言いたいのに……

 どうしてこう、口から出てくれないのか……僕の勇気が足りないのか……

 それは、よく分からないけれど……

 でも、絶対に……言いたい!!


「拓斗?」


「ううん、なんでもないよ……」


「じー」


「うわっ……な、何?」


「やっぱりなんか言いたいんじゃないのー?」


「う……」


「ふふっ、わかりやすいんだからぁ」


「うぅ……」


 やっぱりお見通しなのかなぁ……

 それか、分かっちゃうのかなぁ……それか僕がわかりやすい性格だからだろうか……


 それは無いって事にしてもらおう。


 それは無いな。


 うん、無い。


「そうだ、質問の続きー」


「つ、続き?!」


「だからー、どこがー、好きなの?」


「それはぁ……好きなところは……」


 好きなところなんて……いっぱいある!!

 いっぱいありすぎて……ほんとに困る……だからその……あの……なんというか……

 いきなり言えないといいますか……


 えと……どうすればいいんでしょうか……

 僕は、言いたいけど……言いたいんだけど……でも全然出ない……


 恥ずかしいわけじゃないのに……いや、恥ずかしいのかな……

 どうなのかな……


「ふふ……言えないのは知ってる」


「へ……?」


「だって、そういう所が……大好きなんだもん」


「ど、どういうこと……?だって……嫌われる要素しか……」


「そんなことないよ?好きなところが言えないことな好き、そんな拓斗くんが好き、アニメとか見てて私に重ねちゃう姿が可愛いし好き、オタクな君が好き、不意に出るかっこいい君が好き、君の性格も、声も、顔も、手も、歩き方も、全部全部……大好きだよ」


「唯亜……」


「ふふっ、私は……」


 ぎゅっと……抱きつかれた……

 唯亜……そんなことをする子とだとは思わなかったけれど……でも、僕はほんとに好き……

 ちゃんと……言ってくれる唯亜が……


「「大好きだよ……あっ」」


 今、自然に……言えた、よね?


 もしかして……


 これは、ほんとに……いいことなの、かな?


 いや、いい事だよこれは……


 少し、一歩を踏み出せたのだろうか……


「だから、拓斗くんはこのままで、いいんだよ……///」


「えへへ……ありがとうね、唯亜」


 大好きだよ。


 大好きで、居続けるからね。


 これが……僕のうちに秘めた想いだから。


 伝えられなくても、僕はそう想い続けるよ。



 TheEND

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