第12話
どうも、村人です。
あれから、俺は、いや俺たちは魔王城にやって来ました。
ということで勇者一行の陣容ですが、
勇者
騎士さん
女武士さん
旅人
軽戦士くん
賢者さん
僧侶さん
村人Aこと俺。
となっております。一緒に旅をしてみて思ったんですけどやっぱり俺だけ浮いてる感じがするんですよね。他のみんなと一緒にいる時間が違うからですかね?そんなことを思いながらもあっという間に魔王城についてしまいました。
そこからは魔王の前座の幹部と戦うと相場が決まっていると思いますが四天王は全員俺が仲間になる前に倒してしまったので、魔王側の求心力も大分下がったようであっさりと魔王の所に来てしまいました。
思えば四天王には村を滅ぼされたという明確な恨みがありましたが、魔王本人には大した恨みはありません。それでも魔王を倒さなければ平和はきません。しかし魔王を倒したら平和は来るのでしょうか。まあ、魔王城まで来たらあとは終わった後に考えるべきですね。
そんなこんなで魔王戦ですが、それはもうあっさり倒されてしまいました。勿論、これまでの敵より圧倒的に強かったですが、それでも俺の力なんて必要なかったとは思います。
こうなってくると果たして俺がいる意味はあったのでしょうか。思い返すと最後の四天王戦も俺がいなくてもあまり被害を出すことなく倒せていた気がします。ならば俺はこの勇者一行で何か貢献したことはあったのでしょうか。
「村人くん、ありがとうね」
「旅人さん、いきなり改まってどうしたんですか」
「いや、村人くんのお陰で魔王戦は余裕を持てたかなって」
「そうですかね。俺は何もしてないですよ」
「何言ってるのよ、こんなんいるだけで精神的支柱になるんだから」
「そんなもんなんですかね」
「そんなもんだよ」
旅人の言うことはよくわからないです。何も考えてなさそうに見えて何を考えているのか分からないのです。
結局俺は意味を残せたのでしょうか。それが分からないのです。だから分かろうとしたいのです。
手記はここで途切れていた。勇者の旅に参加していた人物は19名という見方が一般的だ。しかし、勇者や賢者が度々村人という存在を口に出していた。そのことについて詳しく聞いてみると村人という20人目の人物が明らかになった。どうやら魔王討伐の後、すぐに失踪したらしい。私はしがない記者としてどうしてもその存在が気になり、村人の家を見つけた。彼は1年以上の旅ののち故郷である南方の村へ身を寄せるとまた旅に出たのだ。そしてその家にはこの勇者一行「と過ごした」旅の記憶が綴られていた。彼は何者かに自分の爪痕を見せたかったのかもしれない。再び旅に出た彼はたまに目撃情報が出ているが、完全な足取りは分かっていない。彼はいったい何者だったのかも正直分からない。
しかし、村人A、アベルは確かに存在していたのだ。
勇者一行のその後
勇者 カイン 生存
魔王を倒した後は一線を退くことにより勇者としての地位を確立しお払い箱にされるという事態を避けた。
これが基本的に世渡りが苦手な勇者の最大の駆け引きだった。一線を退いた後もかつての仲間たちや新しい仲間たちと一緒にワイワイやってる。
賢者 イシス 生存
魔王を倒した後は長老的な位置でご意見番をしている。本人は権力に無頓着なのだが周りから恨まれることは多い。今のところはそれらを返り討ちにしているがいつまでもつだろうか。また、争いごとは苦手。
魔法使い リモザ 死亡
実はすごかった魔法使い。武闘家と同格ぐらい。強気な性格だがそれを裏打ちするだけの経験と努力がある。ただ相手が悪かったのでダメだった。後、犬派を公言しているが野良猫に餌をあげる。
武闘家 バース 生存
あれから村を救い、その村で後進の育成に努めている。気のいい性格で尊敬されながらも親しみを込めて接されている。
旅芸人 ピジョット 死亡
清濁併せのむ男。人を見る目に優れており軽戦士に未来を託した。村人もただモノではないと思っていた。
イケメンの男 リック 死亡
職業は重戦士。顔が良いのは触れられていたが、実力も一級品で、それはこのリストは村人と裏切り者たち以外は強さ順に並んでいると言ったら分かるだろう。最後は逃げる住人たちの盾になって本来はつけるはずの鎧もなしで粘って死亡。
女武士 ミコト 生存
真面目な武士さん。その後も武道の研鑽を重ね、三人だか四人だかで仲良く暮らしたとか暮らしていないだとか。
遊び人 アウリア 生存
あの混乱をちゃっかり生き延びた人、一応勇者一行での功績もある。意外とその後の足取りはしっかり掴めている。
僧侶 ダフ 生存
気づいたら枢機卿あたりにいる。本人は特に気にしていない。(作者に半年間記述を忘れられていた。)
男近衛兵 ジャック 生存
絶体絶命から悪運も手伝って生き延びた人。腕ぐらいもいどいたほうがリアルかもと思ったがぐろいのは嫌なのでやめた。ただその前は女近衛兵の攻撃で殺そうとしていた。その後は近衛兵をやめ、どうするか迷っていたところとある武骨な人物Mと流れで移住したとのこと。あと、女近衛兵の墓参りはする。
騎士 ジェンナー 生存
みんな大好き騎士さん。しばらく騎士をしたのち、教師に転向してちびっ子たちに慕われる。おじさん昔は凄かったんだぞ?
軽戦士 ポーン 生存
冒険を通して成長するという概念が一番当てはまった人。見出した旅芸人を尊敬している。その後は勇者一行では意外と珍しい軽戦士を続投するという判断をしている。
旅人 オージー 生存
最後まで何がしたいのか分からない旅人。五年後はまた語られるといいな…。
商人 テーゲン 生存
やり手の人。追放された後もいろいろな手を使いながらのし上がり、最終的には大地主になって小領主ぐらいになった。見下しがちな性格だが恩には恩で返す。
医者 ブライト 生存
気弱だが勇気はあった漢。勇者一行を出た後は医学書をかき集めて読み漁る。その後、腕を失いかけた男近衛兵を治療。そして医者として大成し、医学を一人で100年進めた男と呼ばれる。ただ、騙されやすい性格が災いして一度すべてを失う。しかし、何の気まぐれか商人に助けられる。その後は恩返し合戦が起きてなんだかんだで商人に召し抱えられる。
姫 ラウラ 生存
おそらく一番存在を忘れられてる人。なにもないまま平和に過ごす。本人にとってそれは幸せなのだろうか。
少女 ラギ 死亡
悪い子。実は滅茶苦茶強いので不意打ちが最適解だった。
女近衛兵 テン 死亡
王を殺そうと思って必死に近衛兵までのし上がったのにあきらかに左遷されそうなやつと一緒に勇者のお供につけられた人。早く爆発すればよかったやん。
好青年 ノールス 死亡
実は裏切り者。職業は盗賊。賊やんけ。
村人 アベル 生存
ただただ周りが見えてない人。自分のことを被害者だと思ってるのか加害者だと思ってるのかよく分からない。頼むからもっと周りを見てくれ、お前は村人じゃない。
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