第5話

どうも村人です。ここはレットロンという国の王都トートタウンです。こちらでまたしても勇者一行と出会うこととなりました。早速メンバーを見ていきましょう。もう、恒例と化してきましたね。

勇者

武道家

賢者

旅芸人

商人

僧侶

医者

武士の女性

高貴そうな身分の女性

生真面目そうな少年

 そして新しく仲間になったのであろう、

人の良さそうな少年である。

前回殺されていた魔法使いとヘタレイケメンとやる気ない遊び人がいませんね。

まあ、勇者一行とはいえ所詮は人間ですから殺されることもあるでしょう。

というか比較的魔物が少ない道を通っている僕でも結構ギリギリですからね。

これは相当実力もついていると思いたいですね。そんな事を思っていると勇者さんが話しかけてきました。

「最近の王都の調子を聞かせてください」

聞かせるも何も3日前に来たばっかなんですが。

「ま、まぁ良好ですね。」

「そうですか、有難う御座います!」と言い残し勇者は去っていきました。勇者さんも相当人に話しかけ慣れてますね。やはり勇者という仕事はコミュ力もないと成り立たないのでしょうか。


そして勇者一行とバッタリ会おうのコーナー。

最早恒例ですね。今回最初に訪れたのは洒落たカフェ。そしているのは生真面目そうな少年と武士の女性。なんかすごいお堅い会話が繰り広げられてそうですね。

「えっと、どんな食べ物が好みですか?」

「わ、私は焼肉が好みでございます!」

「え、えっとここカフェなんだけど…」

「し、失礼いたしました!」

「あ、どうします…」

「じゃ、じゃあコーヒーで!」

「いや、あの店員いなきゃ意味ないから…」

なんでしょう、会話の内容は普通なのに雰囲気が物凄く硬い。

なぜかこちらまで気まずくなってきたので目を逸らすと、続々と視線が二人の方に集まってきていました。やはり、勇者の仲間というステータスは視線を集めすぎるようです。

見ると二人とも益々恐縮していて、最早見るに堪えないレベルです。

ま、まあせめて僕一人だけでも視線を減らした方が良さそうですね。

ということで続きましてやってきたのはレストラン、お腹が減りましたからね。そしてそこには前と同じ少しだけ薄汚れた白衣を着た医者と豪華な黒いローブを纏った高貴な雰囲気の女性が。

一番意外な組み合わせな気がしますね。これは隣の席で聞き耳を立てましょう。下賤と言われようが、僕にはこれが向いてるんですよね。

「ですが意外ですね、あなたがこんな庶民的なレストランに来るなんて」と言ったのは医者。確かにそうですね。

「まあ、たまにはこういうのも悪くないかと」と女性。あ、たまになんですね。

「にしても他の人たちとはうまくやれていますか?」まぁ、あのヘタレと遊び人と気の強い魔法使いがいないからまあまあやりやすそうですね。

「え、ええ。ですがその…強いて言うなら商人さんが、その人で態度を変えるのはどうかと。」そうだ、商人。勇者一行の中で俺が正直言って一番好きじゃない相手ですね。理由は女性が言ってくれた通りですね。

「ああ。まあ、私は勇者じゃないのでそれを聞いても何も出来ないんですが、じゃあなんで聞いたんだよって話ですが。」その後は大した会話もなく二人は食べ終わっていきました。にしても早すぎる気がするのですが。これは僕のせいでしょうか?

はい次は酒場。武道家と僧侶がいました。

「おおー!また会うとはこれは奇遇だな!もしかして後でも追ってんのか?」「ち、違いますよ!」俺も勇者一行も進行方向が北だからあながち間違ってもないですけど。

「ハハッ、冗談だよ!」冗談だったみたいです。武道家さんはいつも笑顔なので冗談なのかわかりにくいです。そのあとは今日も今日とて他愛のない世間話を。なんか、こーやって話を聞いていただけるとついつい、先回りして待ち伏せしようか的な事を考えてしまいますよね。因みに有益そうな内容としては道中の魔物の対処法的なアドバイスをもらいましたよね。武闘家さんは俺の実力を褒めてくれるのですよね。それが嬉しくて、そういう気の利いたお世辞を僕も言えるようになりたいですよね。俺、ついつい何も考えずに行動しちゃうタイプですから。ただ一つ気になる点がありまして。なんか、武闘家さんがそわそわしていると言いますか。何かありそうなのですよね。とは言っても流石にそれを聞く勇気は無いのでスルーしたのですが。そんなこんなで僧侶と武闘家とは礼を言って別れ、

次は旅芸人、賢者、人の良さそうな少年という3人組に出会いました。

「また、会いましたな、青年」

「あれ、お知り合いですか?」

「そういえばどこかで…」あの、賢者さん、この間ずっと話を聞かされていたのは誰でしたでしょうか。もう、二度と同じ目には会いたくないです。「初めまして、ポーンと言います。何を隠そう未来のベテラン重戦士になる男ですよ!」そら、ベテランは未来にならないとなれないだろうけど。なんかそれは誇るのなんか違う気がするのですが…。「にしても、貴方と師匠はどうやって出会ったのですか?」師匠というのは旅芸人さんのことでしょうか。て、そんなことより!「それは、話せばとても長くなりますが…」フラグ回収秒速出やってしまいましたー!「あ、あのそれよりどうして!じゅうせ…ポーンさんは着いていくことになったのですか!!?」どうせ話が始まるならせめて少しでも有益なやつを!「それはですね…」まー、うん、ものすごい長い時間をかけて得られた情報は「たまたま勇者が通りかかったところを熱心に頼み込んで、渋る勇者に旅芸人が責任を持つから入れてくれと頼み込んだ」のがきっかけ…との事です。一応それだけにしては圧倒的に使った時間が多いけど、多分それだけしか言ってないと思います。

取り敢えずこれ以上話を聞くのもあれなので急いでその場を離れ、向かった先にはバザーが。そこに居たのは勇者パーティーの商人。要は、旅で手に入れたものを交易の中心地でもある王都で売っているということですね。

にしても本当にそれほどの価値があるのかというものが散見されているのですが。

ちょっと聞いてみますか。

「あ、あの、それほんとに本物ですか?」

「なんだい、本物に決まってるじゃないか」

「いや、でも明らかに」「本物って言ったら本物じゃないか。逆にそれ以外に何がある。」「いや、見るからに安っぽい」「私を愚弄するのか!私は勇者様の仲間なのだぞっ!!」出ました、仲間の七光り。「いいか、私には大義がある。なんの目的もない凡庸なお前なんかとは一線を画している!お前にこの差がわかるか。」こんな時でも大声にしないことで余程耳をすませなければ他人からは聞こえないため周りの人のイメージを下げない配慮をする辺り本当にどうしようもない醜い人物なんだなと感じますね。

「悪いがお前は勇者の仲間ではない」

「貴様、何を抜か…。」恐怖と絶望に商人の顔が歪む。それもそのはずその言葉を発していたのは勇者その人だったからだ。

「貴方を詐欺罪と器物損壊罪で訴えます。。理由はおわかりですよね?嫌ならさっさと去ってください。退職金はそちらの伝説のメタルスライムのオイル…もとい、貴方が夜中にこっそり着色したただのスライムのオイルその他諸々です。」澱みなくセリフをいう勇者。正直、何故器物損壊罪も含まれてたのかは理解できませんが、かっこいいですね。

商人は放心していたが、ふと我に返ると駆けていき、唐突に振り返り勇者に殴りかかった。が、突然倒れ込んだ。「あ、すいませんついつい足がひっかっかってしまいました」

どうやら、いつの間にかいた旅芸人が引っかけたようだ。ここからまだ盛り上がりそうだが野次馬がゾロゾロと来ていたので巻き込まれないうちに俺は去ることにしました。


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