カフェでおしゃべり 4

(二人はカフェのテーブルを挟んで向かい合っている)

(アイスコーヒーを一口吸う)


「高校もバレーボール部に入った。バレーボールは好きだったけど、高校じゃ、そんなに活躍できる方じゃなかったな」

(静かに話し始める)


「でもね、お姉ちゃんたち、そして、君、その見守りと励ましがあったから部活を頑張れた。試合よりも、普段の練習や活動で部の仲間を支えることの方が多かったけど、それはそれで楽しいことなのかもって思えるようにもなった」

(ストローでグラスをかき回す)


「あの頃から、誰かを支えるってことを意識するようになった気がする」


「そしてお料理の思い出。高校生の頃には、お料理もお菓子もそこそこ作れるようになってて、お姉ちゃんたち、そして君に美味しく食べてもらえるようになった」

(楽しそうに話す)


「距離ができてたのが嘘みたいなくらい君はよく遊びに来るようになって……。えへへ、胃袋を掴んじゃった感じ?」

(少し照れたように笑う)


「4人での食卓はすごく楽しかったよ。ああ、思い出がどんどん浮かんでくる。バレンタイン。特製チョコレート。女子バレーの仲間や、お姉ちゃんたち、そして君に贈ったね」

(懐かしそうに笑う)


「地域の料理コンテストに参加したこともあった。みんなで応援してくれたよね」


「あの辺りで、私の進路選択で料理だとか食事だとか、そういうものを意識するようになってきた気がする」


「ああ、他にもいろいろなことがあったよね。確か高校生の頃だったと思うんだけど、私の周りでショート動画が流行し始めて、学校の友達と撮って」

(またひとつ思い出したという風に話す)


「そうそう! 私たち4人でも撮ったよね! 歌って、踊って、それを撮って、眺めて。小さい頃のアイドルごっこ、再び! 楽しかった」

(声が弾む)


「でね? 私、撮ってて思ったんだけど、アイドルも、他のメンバーあってのセンターだし、見えない裏方で支える人たちあってのアイドルだって感じるようになって、目立たないところで誰かを支える生き方もアリかなって思うようになってねー。進路について考えるようになったの。そう、私の道のようなものが見えてきた」


「ああー、でも。高校の最後の1年間。高校3年生。コロナ。正確には高校2年の終わり頃からか。さすがにあれはきつかったなあ」

(少し重い口調で当時を話す)


「もちろん感染拡大防止のために、いろいろ制限しなきゃいけなかったのはわかってるけど、楽しかった高校生活が、急に大変になっちゃった」


「あの頃のことには、心残りもあると言えば、やっぱりある」


「ただ、私の場合、姉妹、そして君がいることに救われたな。4人でいれば寂しくない」

(じっと見つめて優しい声で、しかしはっきりとした声で語る)


「4人の間では、それまでとほとんど変わらない生活。時々私の作ったお菓子を食べてもらって、歌って、踊って。4人一緒にお出かけして街を歩く。街の並木道を歩く。マスクをつけていたとしても、私たち4人の中にはいつも笑顔があった」


「君がしてくれたお話、それから、君が書くものにも救われたな。そう、あの頃から君はものを書くようになったんだよね。本当にいろいろと」

(言葉に明るさがこもる)


「君のお話、君の書いたもの、どれも面白かった。あの時間、本当に明るくなった。ありがとう。明るく生きることができた。大学受験も落ち着いた気分で取り組むことができた」


「よく考えたら君はあの頃、中学生だったんだよね。君も学校生活が寂しかったかもしれないけど、私も君を支えることができていたかな? だとしたら、嬉しいな」

(優しく微笑む)

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