蟲のコドク
瀬戸川清華
蟲のコドク
公園の落ち葉の下の更に下の地中。それは居た。
カサカサと動く肉食が。
それは、珍しく意志を持っていた。
21対、42本の足を持ち肉食性で夜行性。そして、毒を持つ
そう、ムカデだ!
彼は、コドクだった。
彼は、同志を探しそこら中を歩き回った。
何日も歩き回った後、やっと見つけた同志がいた。
『や、ヤァ!』
彼が明るく話しかけた。
『ガ、ゴ、m%$#$?"!`*+〜=¬˚µ˙˚˙†』
意味のわからない言葉を発してくる同志。
彼は戸惑っていた。すると、戸惑っている間に同志は彼に襲いかかって来た。
『ぎゃあっ!何するのさ』
同志からの返答はない。仕方がない。襲われたら、コロサナクチャ。
彼は、同志の柔らかい身体に毒を持つ顎肢で思いっきり噛みついた。
カミツカレルマエニコロサナクチャ。
もちろん同志は同じ種類のムカデのためムカデ同士の毒は圧倒的に効きにくい。が、効かないわけでもない。
毒により少し鈍ったムカデは彼によって引き千切られた。
ドウシッテコンナニオイシイノ?
ジャア、モットタオサナクチャ。
その日も、次の日も、またその次の日も。彼はムカデを殺しては食い、殺しては食い続けた。
そんなある日だった。
ナンデボクハドウシヲコロシテルノダロウ。
……はっ!そう。僕はコドクだったんだ。同志を探さなくちゃ。
彼は気づいていなかった。ムカデがもう、ほんの少ししかいなくなっていたことを。
また、彼は同志を探して歩き回っていた。
すると、今度は8本の足を持つ飛び跳ねる存在に出会った。そう、クモだ。
『ヤァ!僕は、』
ピョンッ!
『待って!行かないで!』
ブレイモノ
彼は何かわからないがこの言葉が浮かんできた。
ブレイモノハタオサナクチャ。
彼は、クモよりも早いスピードでクモに追いつき特徴の一つである多くの足を使いクモの素早い動きを封じ自慢の
ブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャブレイモノハタオサナクチャ
『あれ?ブレイモノがいない?僕は、倒し切ったんだ!』
そう、また彼はクモのほとんどを倒していた。
彼は完全にコドクになった。
ムカデたちが集まると、最後には必ず誰かが誰かを喰い、最後にはたったひとりだけが残る。彼は、ふいに知ってしまう。自分はもう、ひとりきりなのだ。おそろしい静寂。
そのとき、遠い本能が名前を囁いた。『コドク』……孤独であり、蠱毒――生き残ったものはただ一匹だけだった。
蟲のコドク 瀬戸川清華 @Suzusiro-aika
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます