戦いはまだ終わっていない

アウレリア学院――


普段は晴れ渡る空が、今や漆黒に変わった。黒い雲が渦巻き、学院の屋根全体を覆う。

一瞬のうちに、空中に闇の裂け目が開く。


その中から、エヴィロンが冷たい笑みを浮かべて現れ、両手を高く掲げる。

「ハハハ!さあ、闇の使い魔どもよ、出てこい!」


背後に巨大な黒い渦が現れ、次々と赤い瞳をした十数体のモンスターが現れる。

その体は巨大で、硬い皮膚に覆われ、血に飢えたオーラを放っていた。


「味わえ、ガキめ!」エヴィロンが叫ぶ。目は狂気に光る。

「お前の仲間が目の前で死ぬのを見せてやる!ハハハハ!」


モンスターたちはすぐさま学院の中庭に突撃し、壁や庭園を破壊し、前にいる者を薙ぎ倒す。

悲鳴と混乱の声があちこちに響く。


「助けて!」

「逃げろ!モンスターだ!」

「彼らを正堂に入れさせるな!」


学院の雰囲気は、一瞬にして戦場と化した。


その混乱の中、一人の生徒が中庭に立ち尽くしていた。

乱れた髪、しかしその瞳には強い決意が宿る。

彼こそ、ゼインである。


逃げも隠れもせず、両手に炎の魔力を溜める。

「俺が逃げると思っているのか?」冷たい声で迫るモンスターを睨みつける。

薄く笑みが零れた。

「なら、望み通りにしてやろう…地獄に送ってやる!」


ゼインは素早く、空中に五つの巨大な火球を形成する。

「ファイア・バースト!」


ドカン!!ドカン!!ドカン!!

地面を揺るがす爆炎。炎がモンスターの群れを飲み込み、灰に変える。


煙が高く舞い上がる。学院の塔の上から、エヴィロンは傾いた笑みを浮かべながら見下ろす。

「ちっ…こいつも面倒だな。さっき頭を蹴ったガキと同じだ。」と、呆れた口調で呟く。


エヴィロンは暗黒のオーラをまとい、稲妻のごとくゼインへ飛ぶ。

手には赤く輝く闇の魔剣。ゼインの首を一撃で斬ろうと構える。


「なっ!?」ゼインは目を見開き、襲いかかる剣に驚く。


しかし、剣が届く前に、アイリスが横から現れ、剣を輝かせ、一振りでエヴィロンの攻撃を防ぐ。

カラン!学院中庭に金属の衝突音が響く。


「ふん…うるさいやつめ…」とエヴィロンは呟くが、背後から現れた追加の敵を見て目を細める。


エリナが前に出る。手に青い氷の魔力を渦巻かせる。

「フリーズ!」

氷の波動がエヴィロンに激しく突き刺さる。


ドカン!


エヴィロンは吹き飛ばされ、学院の柱に衝突。粉塵と石片が舞い散る。


瓦礫の中で、ゼインは腰を落とし息を切らす。

「うっ…くそ…力が…もうほとんどない…」小さく呟く。


アイリスが駆け寄り、目を細めて心配そうに尋ねる。

「大丈夫?ガキ。」


ゼインは顔を上げ、驚きと少しの感嘆を浮かべる。

「俺…大丈夫。でも、お前は…誰だ?」


アイリスは薄く微笑み、軽く頭を下げる。

「私?私はこの学院でカイルの従者です。」


「従者…?」ゼインは唾を飲み、驚きの目で見る。

「従者がこんなに強いのか…」心の中で呟く。


エリナがさらに近づき、アイリスを真剣な目で見つめる。

「カイルの従者なら、今カイルはどこにいるか知ってるの?」


アイリスは眉をひそめる。

「私も知らない…多分逃げたかも…いや、でも無理だ。カイルはそう簡単に逃げたりしない。」


――一方で。


学院の一つの講堂では、セルヴィアが突然のエヴィロンの攻撃で負傷した生徒たちを手当てしている。

右手からは優しい緑色の光が放たれ、傷を癒す。


「まだ痛いですか?」セルヴィアが柔らかく尋ねる。


手当を受けた生徒は首を振り、顔に笑みが戻る。

「いいえ、もう痛くありません。ありがとうございます、セルヴィア先輩…」


セルヴィアは安堵の笑みを浮かべ、目が温かく輝く。

「ああ、よかった…」


立てる生徒たちは全員、周囲に集まり、恐怖を抱えながらも、癒しの魔力に少し安心している。


――戦場に戻る。


エヴィロンは激しく唸り、拳を握り、暗黒のオーラが狂気じみて渦巻く。

「クソッ!!こうするしかないか!!」と叫び、怒りが空気を震わせる。


しかしその時、カイルとネロが空から現れ、戦場上空に浮かぶ。風が渦巻き、瓦礫が舞う。


カイルは自信満々の瞳でエヴィロンを見据え、冷たい笑みで挑発する。

「もう諦めたのか?」


ネロは翼を広げ、鋭く目を細める。

「どうやらお前ももう手詰まりだな、エヴィロン。」


下で見守るエリナは目を輝かせ、鼓動が早まる。

カイルの存在が、不安を希望と感嘆に変えた。


近くに立つゼインは、カイルを見つめながら薄く笑む。

安心感と好奇心が入り混じった表情だ。


一方、アイリスは頭を下げて微笑む。

胸には確かな自信。カイルの存在が、生き残った者たちすべてに希望をもたらす。

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