第05話 01
『やあ、関口君、久し振りじゃないか。珍しいね、キミのほうから連絡をくれるなんて。一体どういう風の吹き回しだい?』
「…………」
相変わらずの口ぶりだ。この持って回った言い回し、高校時代から何一つ変わっていない。大学ではどうなのだろう。こいつ――センゴクの被害をこうむっている哀れな人間が、そちらにもいるのだろうか。……いや、今はそんな
「なあ、センゴク、じつは今日電話したのには
『ああ、なるほど。まあ、関口君が
「いや、済まない」
『なに、気にすることはないさ。ボクもキミのことは、単なる知人としか見てはいないから、お互い様だよ』
そうセンゴクは、出典元そのままに馴染みのフレーズを紡ぐ。まあ、おれたち特有の挨拶みたいなものだ、今さら突き放した言い回しに嚙みついても始まらない。(下手に友人面されたほうがよほど不気味……、いや、
「……どうだ、センゴク? お前のちからで、何とかならないか?」
『…………』
受話器にきつく
なにか良い策があるのかっ、勢い込んでおれは言う。今や頼りになるのは、このセンゴクだけなのだ。……あの晩――“菜子”がいなくなった晩から、もう数日が経過していた。その
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