46皿目 天気は快晴。

 「たっらいまぁ♪」運動会の前日。妻がご機嫌で帰宅した。時刻はほぼ午前様。


 この2週間ほど前のこと。元パート先のママさん達との飲み会の日程を、唯一合わせられるのが運動会の前日しかないと、妻から相談を受けた。

「行って来ていいよ」私は許可した。

「ホント!あたし、帰って来てから、ちゃんと運動会の準備とかするから!」

「準備は運動会だけじゃないよ。その日は新宿のホテルに泊まるんだから」

 アメリカに住む私の姉の家族が東京に来ており、運動会が終わったあと、新宿で食事して、一緒にホテルに泊り、その翌日、二家族でディズニーシーに出かける計画となっている。


 運動会の前日、つまり飲み会当日の夕方。久しぶりの飲み会にウキウキとしている妻に連れられて、運動会のお弁当用の食材をスーパーに買い出しに行った。私は買い物かごとメモを持って妻についてまわり、帰りは重い袋を持った。子ども達は、運動会と、ホテルにお泊まりという2大イベントに加え、外国に住む従兄弟たちとの久しぶりの再会を前にして、興奮していた。

 「今日は早く寝かせてね」

 妻はそう釘をさしてから、飲み会へと出かけた。私は妻の言いつけ通りに、子ども達に夕食を作り、後片付けをしてから風呂に入れ、普段より早めに寝かしつけた。

 午後8時半。おそらく、ママさん達が盛りあがっている頃合いに、私はお弁当の下ごしらえを始めた。翌朝の妻の負担を軽くしておこうと思ったのだ。一通り下ごしらえが終わり、あとは翌朝調理すればいい段階まで仕上げた。ここまでやっておけば、妻も喜ぶだろうと思った。しかし、午後10時をまわっても、妻は帰って来なかった。

 もうすぐ日付がかわるころ、妻がご機嫌で帰宅した。

「たっらいま〜♪」

 目がとろんとしている。嫌な予感がした。

 妻は素っ裸になり、風呂にも入ろうとせずに布団に潜り込んだ。脱ぎ散らかした服を整理しながら、「服を着ないと風邪引くよ。風呂にはいってきたらどうだ?」と声をかけたが、妻は「酔いがまわるから、少ししてから入る」と言って、裸の身体にタオルケットを巻き付けた。

「せめて、なにか着ろよ」と注意したが、むにゃむにゃと答えるだけで、布団からでてこようとはしなかった。この時、私は覚悟を決めた。

 なんとか妻に、服を着せる事に成功し、目覚ましを6時にセットした。その必要があるとふんだからだ。

 そして朝を迎えた。前日の雨模様とはうってかわって、天気は快晴に恵まれた。予報は一日晴れ、気温25度と告げていた。まさしく運動会日和。子供達も起き出してきた。

 「おはよう!晴れたよ!運動会できるよ!」安心させるように声をかけた。花子が不思議そうに私を見て言った。

「ねぇ、どうして父さんがお弁当を作ってるの?」

 太郎が私の代わりに答えてくれた。

「母さんは、二日酔いなんだよ。花子」

 嫌な予感予感は見事に的中したのだ。

 

 お弁当の献立

・鶏もも肉の唐揚げ

・タコさんソーセージ

・出し巻き玉子

・きんぴら

・ポテトサラダ

・キュウリの浅漬け

・おにぎり

  ツナ

  昆布

  おかか

  カニマヨ

・アメリカンチェリー

・プチトマト

 下ごしらえが功を奏した。私はメモを取り出し、できあがった献立をひとつずつ消していった。

 重箱は見事な出来映えに仕上がった。

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