52話 集結
崩れた王宮の広場に、一人、また一人と戻ってきていた。
「……マーク!」
駆け寄ってきたのは、クルットだった。だが、その姿は――先ほどとは違い、あちこちに傷を負っていた。
「クルット、お前……!」
「大丈夫です。……ミアルと一緒に、なんとか」
肩に乗った天使型モンスターのミアルが、力なく羽を震わせた。
***
「実は、俺たちも一体、相手をしてたんです」
クルットが、息を整えながら語った。
「五人目のアンクル5――爬虫類型の、ジルバっていう奴が」
「お前が? 戦ったのか」
マークが、驚いたように尋ねた。
「はい……。俺は、強くありません。でも、ビビット様の国を守るためなら、逃げるわけにはいかなくて」
クルットは、震える拳を握りしめた。
***
「ミアルの光の力と、俺の……ただの根性だけで、なんとか食らいつきました」
「食らいついた、って……勝ったのか?」
「……相打ち、みたいな形です。ジルバも、力尽きて逃げていきました」
クルットは、苦笑いを浮かべた。
「情けないですけど……それでも、俺にできる精一杯でした」
***
その言葉に、マークは小さく笑った。
「――十分だろ」
「え?」
「勝ち方なんて、綺麗じゃなくていい。……お前は、ちゃんと守ろうとした」
マークは、クルットの肩に手を置いた。
「それだけで、十分すごいことだ」
クルットの目に、涙がじわりと滲んだ。
「……ありがとう、ございます」
***
「――おい」
低い声とともに、グレンが瓦礫の間から姿を現した。
「マーク……」
一瞬、視線が交わる。だが、今はそれ以上何も言わなかった。
「イズマは?」
「マミを探しに行った」
グレンが、短く答えた。
そのすぐ後――
「マーク! グレン!」
イズマの声が響いた。隣には、無事な様子のマミの姿もある。
「マミ、無事だったか……!」
「うん、ローズラのおかげでね」
マミが、少し照れくさそうに笑った。
***
「――全員、揃ったか」
グレンが、周囲を見渡しながら呟いた。
「アンクル5は?」
「マグルスは、俺が倒した」
マークが、拳を見つめながら答えた。
「他の四人も、それぞれ片付いたみたいだな」
「五人目は、俺とミアルで……なんとか」
クルットが、少し胸を張って言った。
崩れた広場のあちこちに、倒れた怪人たちの姿があった。
「――ビビットだけが、まだだ」
***
「王宮の奥に向かってるはずです」
クルットが、表情を引き締めて告げた。
「継承式の間近くに、玉座があります。……多分、そこに」
「行くぞ」
マークが、真っ先に歩き出した。
その後ろに、イズマ、グレン、マミ、そしてクルットが続いた。
四者四様の思惑を抱えながらも、今この瞬間だけは、同じ方向を向いていた。
***
崩れた城壁を抜け、王宮の奥へと進んでいく。
「――なんか、様子がおかしくねえか」
グレンが、警戒するように呟いた。
奥から、微かに怒声のようなものが聞こえてくる。
「急ぐぞ」
マークが、駆け出した。
***
玉座の間の扉を蹴破ると、そこには――
倒れたライトラの姿と、その傍らで剣を構えるボルテック、そして呆然と立ち尽くすビビットの姿があった。
「――父上……!」
ビビットの叫びが、玉座の間に響き渡った。
「な……!」
マークたちが駆け込んだ、その瞬間――
ライトラの体から、力が抜けていくのが見えた。
「……ビビット」
かすれた声で、父が息子の名を呼んだ。
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