49話 氷炎合一


背中合わせに立つイズマとグレンを、グラノダとブルーシーが同時に囲んだ。


「二人がかりでも、無駄だぜ」


グラノダが、鋏を打ち鳴らしながら威嚇する。


「そっちこそ、随分と息が合ってるじゃないか」


ブルーシーが、上空を旋回しながら嘲るように言った。


「――勘違いするな」


グレンが、静かに答えた。


「協力してるわけじゃねえ。ただ、目の前の邪魔者を、さっさと片付けたいだけだ」


「それだけで、十分だろ」


イズマも、氷の銃を構え直しながら続けた。


***


「行くぞ、グレン」


「言われなくても」


二人は、同時に地を蹴った。


グラノダの鋏が、イズマへと迫る。


「甘い」


氷の弾丸が、正面から鋏を凍りつかせた。


「な――」


「今だ!」


その隙を突き、グレンの炎がグラノダの側面に叩き込まれた。


ドゴォンッ!!


「が、はっ……!」


凍りついた鋏に炎の衝撃が加わり、亀裂が走る。


***


一方、ブルーシーが上空から急降下し、グレンを狙う。


「――そっちは、俺がもらう」


イズマが、冷静に銃口を向けた。


放たれた氷弾が、ブルーシーの翼を掠める。


「な、なんだと……!」


体勢を崩したブルーシーの眼前に、グレンの拳が迫った。


「終わりだ」


炎を纏った拳が、まっすぐ胸元を捉える。


ドゴォンッ!!


墜落するように、ブルーシーはその場に叩きつけられた。


***


「まだ、俺は……!」


亀裂の入った鋏を振り上げ、グラノダが最後の抵抗を見せる。


「――もう終わりだよ」


イズマとグレンが、同時に動いた。


氷が鋏の亀裂に流れ込み、内側から一気に凍結させる。


「うおおおおおおっ!!」


そこへ、グレンの拳が炎を纏って突き刺さった。


パリィィィンッ!!!


凍りついた鋏が、粉々に砕け散った。


「が……はっ……」


グラノダの巨体が、力なく崩れ落ちた。


***


静寂が、崩れた地下空間に戻った。


「……勝ったか」


グレンが、拳の炎を消しながら息を吐いた。


「ああ」


イズマも、銃を下ろした。


「悪くない連携だったな」


「勘違いするなよ」


グレンが、素っ気なく言った。


「今回だけだ」


「分かってるよ」


イズマは、小さく笑った。それから、すぐに表情を引き締めた。


「――マミを、探しに行く」


「勝手にしろ」


グレンは、それだけ言うと、瓦礫の隙間から上階へと続く道を探し始めた。


***


崩れた瓦礫を掻き分けながら、イズマは焦る気持ちを抑えつつ進んでいた。


「マミ……無事でいてくれよ」


小さく呟くその声には、これまで隠してきた、確かな想いが滲んでいた。


上階へと続く道の先――王宮の中庭では、まだ決着のつかない戦いが、続いていた。

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